よく知られていることかもしれませんが、現行の戸籍法では戸籍の記載事項に氏名をどう読むかということは記載されておらず、漢字をどう読むかということはある意味自由でした。住民票には振り仮名が付けられていることが一般的かと思いますが、これはあくまで事務処理の便宜上設けられている補助的な情報に過ぎませんでした。

しかし、同じ意味で似たような複数の字体があったり、外字として登録されていたりで検索性が悪かったこと、氏名を呼んで本人確認できるようになること、振り仮名を変えて別人を装うことを防げるようになることなどから、戸籍の記載事項に氏名の振り仮名を追加するという改正法が来年5月に施行されるとのことです。この改正については法務省の「戸籍に振り仮名が記載されます」というページで説明されていますが、この施行日が今日の閣議で決定されたそうです。

現在の戸籍には振り仮名がないのでこれを登録する必要があり、全国民に市区町村から住民票などをもとに振り仮名の確認通知が郵送され、1年以内に届け出がなければその振り仮名で登録されるとのことです。これは大変な事務作業となりますが、何事も始めるためには乗り越えなければならない壁があるということでしょうか。

なお、振り仮名は何でもいいというわけではなく、「よくあるご質問」には

氏名の振り仮名については、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられました。

例えば、(1)漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:高をヒクシ) (2)読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:太郎をジロウ、サブロウ)、(3)漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:太郎をジョージ、マイケル)など、社会を混乱させるものは認められないものと考えられます。

と記載されています。実際トンチのような読み方をさせる人もいるのではないかと思いますが、そういうケースでは何らかの証明をすれば例外的に認められたりするのでしょうか。あまり明確な基準はなさそうなので、ある程度柔軟な運用がされそうですが、それはそれで揉める原因になるのではないかと心配になります。都市伝説だったら良かったのにというレベルで世の中にはいろいろな人がいて、信じられないような名前を付ける親がいるようですからね。