Raiders of the Lost Arkナチスって便利な悪役…

今年6月、実に19年ぶりのシリーズ最新作「クリスタル・スカルの王国」が日本でも公開される予定の大人気アドベンチャー映画「インディ・ジョーンズ」シリーズですが、このカムバックを心待ちにしている人も少なくないのではないでしょうか。実際と同じく前作から19年後の設定ということでHarrison Fordが演じるIndiana Jonesは相応に老け込んでしまっていることでしょうが、「トランスフォーマー」の主演で一躍スターの仲間入りを果たしたShia LaBeoufがIndyの相棒として出演しているというのも楽しみなところです。ちなみにShiaが「コンスタンティン」でKeanu Reeves演じる主人公Johnの相棒Chasも演じていたとは私も今の今まで知りませんでしたが…

それはさておき何しろ19年ぶりということですから、間に何度もテレビなどで観ているとはいえ、これまでのストーリーも通して復習しておいた方がより一層楽しめるのではないかということで、これまでのシリーズ3作品を借りてみました。まずは第1作、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」です。

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「アーク」というのはモーセの十戒が収められたという箱、「聖櫃」のことですが、これをめぐってナチスとIndyが争奪を繰り広げるというアクション・アドベンチャーがこの作品の見どころです。「十戒」と言われてもあまり日本人にはピンとこないでしょうが、この聖櫃自体に不思議な力が宿っているのではないかとオカルトに取り憑かれたナチスが必至になって発掘している、と言うのは完全なフィクションなのでしょうか。

その後のシリーズに比べると荒削りで素朴な印象のところも多々あり、中だるみしてしまうような感じもありますが、アクションシーンのIndyの活躍にはワクワクさせられるものがあり、またコメディの要素もあって子供と一緒に楽しむことができました。恐がりな次男は冒頭の迷宮のシーンなどはビクビクしていましたが、夢でうなされるような場面はもちろんないので安心して観ていられます。

主演のHarrison Fordも今や知らない人はいない有名な俳優ですが、当時はStar WarsHan Soloくらいでしか知られていなかったそうで、その彼をスターに押し上げたのもこの作品でした。製作がGeorge Lucas、監督はSteven Spielbergというのも今見れば成功が約束された黄金のコンビネーションにしか見えませんが、当時の彼らにはまだそれほどの名声はなかったでしょうから、彼らにとってもキャリアを築き上げる大きな成功となった作品と言えるのではないでしょうか。

それにしてもこの作品に相当するのは最近で言えばどんな作品なんでしょうね…巨額の製作費が注ぎ込まれた大作ばかりが目立つようになってしまって、スタジオの意向に押されて製作者の個性が見えにくくなってきてしまっているのかもしれません。CGや特殊メイクの技術が進歩して表現力が高まっているのはいいことかもしれませんが、そういう技巧に走った「映像」よりもストーリーやプロットを見せる本来の「映画」を楽しみたいものです。