うどんの味を決めるのは麺だけではありません。

もう一週間以上も前の話になってしまいましたが、先日Crazy Ken Bandのライブに行ったときに「せっかく珍しく難波まで行くのだから」と何かおいしいものを食べたいと言っていたのですが、三食うどんでもいいと言うくらいかなりのうどん好きらしい後輩Mが、麺通団が関西にある讃岐うどんの店を紹介する「関西極楽さぬきうどん」の単行本を持参して「ここに行こう」と既に決めていました。

関西極楽さぬきうどん〈前編〉ちく玉天ぶっかけなんたることだ
浦谷 さおり 別府 護
西日本出版社
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他の3人には特にそれに反対する理由もありませんし、それほどの店ならばと少々迷いながら、交番の可愛らしくもキリッとした女性警察官に丁寧な説明を受けつつ、その有名店「釜たけうどん」に行ってみました。店に着いたのは2時を既に回っていたかと思いますが、店の前には10人以上の行列ができていました。うどんを食べるために並ぶというのは初めての経験で、「そこまでするものなのか」とやや戸惑いながらも行列の最後尾につきましたが、うどんを食べるのに時間はかかりませんし、食べ終わってから長居をするような店でもないので回転は良く、10分少々で席に着くことができました。

この店のおすすめはぶっかけうどんにちくわと半熟卵の天ぷらが載っている「ちくたま天ぶっかけ」だということなので、まずは基本を押さえるべくこのおすすめの品を注文してみました。待つこと10分足らずで出てきたそれは名前からも想像できる通りそのままの見た目でした。まずは麺をちゅるっと食べてみると…あまり冷たくありません。冷たいぶっかけうどんならばもっとしっかり冷やしてほしいなあなどと思いながら食べていましたが、若干ゆで時間が長いような気もしないではないものの麺の腰はさすがにしっかりしています。何となく不満げな物言いですが、期待が大きすぎただけで、もちろん決して美味しくなかったわけではありません。

しかし食べて驚いたのはちくわ天です。ちくわの天ぷらというとこれまでは揚げてからすっかり冷め切ってしまったようなものしか食べたことがなかったので、今回もあまり期待していなかったのですが、ここで載っていたのは揚げたてアツアツの天ぷらでした。サクッとした衣の中のちくわはふんわりしていて甘みさえ感じるもので、これほどまでにちくわ天というものが美味しいものかと感動してしまいました。卵の方は半熟卵に衣が付いているだけですが、途中で割ってトロッとした黄身をダシに混ぜて食べるとこれもまた美味しかったです。

ぶっかけうどんを頼んだので仕方がないのですが、やはりうどんにはダシがつきもので、美味しいうどんの最後は暖かいダシをすすって締めたいというのをこれほどまでに感じたことはありませんでした。うどんの麺を楽しむには冷たいうどんが一番ですが、一方で暖かいダシも欲しいなどとわがままなことを思ってしまいます。ちなみにぶっかけのダシは割と普通の醤油の利いたものです。

うどんがしっかり冷えていなかったのが残念で全体的な満足度は70%くらいの印象なのですが、基本的に食べ歩きは好きなのでなかなか楽しむことができました。このあとにライブが待っていたのでカメラを持って行けず、写真を撮れなかったのは残念ですが…やっぱり今度は讃岐うどんの本場香川で楽しみたいと思います。まあ私ははなまるうどんでも十分なんですが。