地上デジタル既得権益を握っておきたいというのはわかりますが。

数日前のニュースになりますが、読売新聞の記事によると総務省がテレビのデジタル放送のコピー制限を現在のいわゆる「コピーワンス」から緩和するよう放送事業者などに要請しているということが明らかになったそうです。最初に放送を録画した時点が1回目のコピーと見なされてしまうため、現在はこのコピーワンスの制限により事実上複製ができないということになっており、事実上無制限に複製が可能だったアナログ放送の時に比べてユーザ側の利便性が著しく損なわれてしまい、結果的にこれを嫌った消費者がデジタル放送対応の機器を買い控えてしまっているということで機器メーカー側からも緩和の要望が上がっていたということです。

そもそもデジタル放送が既に行われているアメリカ・ヨーロッパでは一切コピー制限は行われておらず、ユーザは自由に複製することができるのですが、これに対し日本の放送事業者らは「日本のシステムが世界一進んでいる」などと胸を張って言っているそうなのがたちの悪いところです。確かに欧米でデジタル化が行われた頃には技術的に対応できなかったのかもしれませんが、それでも良しとして実用化に踏み切っているという点で文化的なレベルの違いを感じてしまいます。

だいたいコピーを制限しようとするのはなぜなのでしょうか。本来DVDなどで売れるはずのドラマなどが違法コピーで出回ってしまうということを危惧しているというのが一番の理由のようですが、これは音楽CDなどと同じでコピーで満足できる人はコピーできないからといって市販DVDを購入したりはしないし、DVDを買う人はコピーが入手できたとしても正規の製品を購入するのではないでしょうか。個人的なコピーが回覧される程度であればいい宣伝になるくらいの寛大さがあってもいいものではないかと思います。何もかも見逃さずにことごとく金を徴収しようというのはがめついようにしか見えません。

私も自宅のDVDプレイヤーの調子が悪くいい加減買い換えを迫られているところなので地デジ対応HDDレコーダーの購入を検討してはみたのですが、せっかくデジタル化されているというのにハイビジョン化以外のメリットが全く見られず、コピーもできないならいいや、と結局やめてしまったところです。まあこれが9回までコピー可能になったからといって購入するかというのもまたわからないのですが。

ちなみに件の総務省の要請というのはデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会第18回の配付資料に記されているもののようですが、これを見てもカタカナ語だらけで読みにくいったらありゃしません。こういうのはいわゆるギョーカイ人のものかと思っていたのですが、中央省庁の役人の間でもまかり通っているものなのですね。私の職場でも相手が海外メーカーだったりすることもあって専門用語はどうしてもカタカナになってしまうことがありますが、外から見るとあまり感じのいいものではありませんね。人の振り見て我が振り直せということで、私も日本語で表現できるところは極力日本語を使うよう、気を付けていきたいと思います。まあ何だか話はそれましたが…