Sherlock Holmesまたロンドンに行きたくなってしまいました。

Sherlock Holmesといえば言わずと知れたSir Arthur Conan Doyleによる推理小説の古典的シリーズとその主人公である私立探偵の名前ですが、少年時代に熱心に読んだという人も多いのではないでしょうか。私も小中学生の頃は推理小説に夢中になったものですが、当時からひねくれて王道を好まなかった私は微妙にひねってEllery Queenなどの方を読んでいて、当時ロンドンにも住んでいたにも関わらずSherlock Holmesのことはあまり知らなかったりします。とはいっても、Baker Street 221BにSherlockが住んでいた(事になっている)というのは私でも知っていることですし、地下鉄のBaker Street駅には山高帽を被りパイプを咥えた男の横顔がタイルに描かれていたりするのを見ればそれが誰なのかはすぐに分かります。

昨晩はそのSherlock Holmesが主人公の映画「シャーロック・ホームズ」が公開されたので早速観に行ってきたのですが、この映画を観るにあたって小説を知っている必要はほとんどありません。というのも、小説のいずれかのエピソードを映画化したというものではなく、Doyleの小説に影響を受けて作られたコミックを元にしているものであろ、キャラクター設定以外のストーリーなどは小説とはあまり関係がないからです。Doyle作品の熱心なファンには怒り出す人もいるかもしれませんが、それはそういうものとして観れば良いのではないでしょうか。

舞台となっているのは19世紀末のロンドン、道路を行き交うのは人と馬車という時代なのですが、その映像を見ても多くの建物が今もそのまま残っているようなものなのに少々驚きます。こういう所がこの街に歴史の重みを感じるところですが、同じ時代の日本の建物はその多くが空襲や震災により失われてしまっていますし、木造家屋の多い日本ではもともとそれほど長く残るように設計されていないでしょうから仕方ありません。

それはさておき、また驚くのが「Sherlock Holmesってこんな肉体派の人だっけ?」ということです。主演がIron Man/Tony StarkことRobert Downey, Jr.だということでそのIron Manのイメージを引きずっているところもあるかもしれませんが、これはやはり小説とは別物のコミックが原作だということなのでしょう。しかしだからといって面白くないというわけではなく、変にスカした頭でっかちの人ではなく、汗臭い人間味の有るキャラクターを演じていて非常に好感が持てます。

ちょっと面白かったのは格闘シーンです。実際にはものの数秒で終わってしまい「何だったのかな?」とよくわからないまま見過ごしてしまいがちなアクションを、Sherlockが頭の中で立てている作戦を解説を加えて予め映像化してみせておくことで「なるほど」と理解できるようにしているのです。私はこういう物を初めて観たような気がしますが、すでにどこかで使われている技なのでしょうか。

またもちろんSherlockの鋭い推理も見せ場の一つです。あまりに鋭すぎて相棒John Watsonの婚約者であるMary Morstanを怒らせることにはなってしまいますが、こういった演出もまた楽しからずや。さらにWatsonとの深い友情と息の合ったところも見どころでしょう。それこそがこの作品のテーマと言っても良さそうなほど印象に残るようになっています。

ということでSherlockianでない私もかなり楽しむことができました。しかしそれにしてもIrene AdlerにSherlockの心が惑わされるのもわかりますよ…Rachel McAdamsがすごく素敵です。