Knowing本当に幸せなのはどちら?

カプセル状の容器にその時代のものを入れて埋め、予め定めた年月を経てそれを開封する、というタイムカプセルというものは万国博覧会で行われて世界各地に広まったもののようですが、私も子供の頃、新設校だった小学校の行事としてタイムカプセルを埋めました。さすがに大阪万博のように5000年後というのでは誰の目にも触れることなく風化していくことが目に見えていますから、西暦2000年に開封することになっていたのだったと思います。その時は関西からはるばる駆けつけたわけですが、その中に自分が入れていたもののことなど全く覚えていませんでしたし、出てきた物を見ても自分が書いたものだということはどんなに記憶を掘り返してみても思い出せませんでした。まあすでにそれがどんなものだったかということは覚えていませんし、その後それをどうしたのかもよく覚えていません。もう一度埋め直したのではなかったかと思いますが、その次はいつ開封することになっているのかも…

今日観た「ノウイング」という映画の物語はこのタイムカプセルから始まります。

ノウイング プレミアム・エディション [DVD]
監督:アレックス・プロヤス
ポニーキャニオン (2010/01/06)
ISBN/ASIN:B002AQTCVK

泣く子も黙るM.I.T.で教鞭をとるJohn Koestlerの一人息子Calebの通う小学校では50年前に埋めたタイムカプセルが開封され、先生に配られてCalebが手にしたのはLucindaという少女が入れたメッセージでした。しかし、このメッセージの内容はというと、紙一面にびっしりと書き込まれた数字の羅列です。Calebはこれには何か意味があるに違いないと思い自宅に持ち帰りますが、ふと思い付いて解読を試みたJohnが気づくとそれは過去50年間に起こった惨事の日付と犠牲者数、そして近い将来の日付と…

この作品、最初のうちはオカルト色の濃い展開になっているのですが、その後ディザスタームービーとなり、そして最後はSF的になるという、良く言えばいろいろな要素を楽しむことができるものになっています。冒頭の流れからはこういう結末になることが予想できませんでしたが、やはりちょっと発散気味のような気がします。主演のNicholas Cageに助けられているところが多分にあるのではないでしょうか。

映像の方もいろいろ頑張っているのですが、惨事の場面はかなりキツいものです。それほど生々しい映像があるというわけではないのですが、実際にこんなことがあったとしたら…と想像を巡らせてしまうと大変です。それだけリアリティがあるということなのかもしれません。そんなバカな、というようなことではあるのですが、あながちありえないことではないような気がしてしまい、そういう時の人間の無力さを感じてしまうのです。実はそれこそがこの作品のテーマのような気がしないでもありません。

ちなみに冒頭の講義のシーンで決定論とランダム論についての議論がありますが、私はこの二つ、言い換えれば必然と偶然の二つは実は表裏一体というか、同じものを指しているのではないかと思っています。物事をマクロに見ていけば偶然、ミクロに突き詰めていけば必然によるものなのではないか、因果関係に不確定な要素はないのだけれど、明らかでないところは確率で置き換えると説明できるということか、と素人ながら考えています。というようなことを言っても、それがどういう意味を持つものでもないわけですが…