大人向けでも子供向けでもないような…
今週から日本の学校では新学年が始まっていますが、新一年生で全く新しい環境に戸惑っている人、クラス替えで仲の良かった友達と離れることになってしまった人、その他様々な不安を抱えている人もいるでしょうが、これまでとはちょっと違う新しい生活がはじまるということですから、変化の少ない会社生活を送る私からすれば実に羨ましい限りです。
私の子どもたちも春休みが終わってまた学校に通い始めていますが、この春休みには「一年間よく頑張っていい成績をとった」というご褒美としてそれぞれ観たいという映画に連れていってやることにしました。「お父さんばっかりズルイ」というのはよく言われているのでその目眩ましに…というわけではありませんが、次男には「ドラえもん のび太の人魚大海戦」を観たいと以前から言われていたのでした。しかし、ドラえもんなら大人が観ても楽しめないことはないでしょうがもったいないので、映画館まで連れて行って長男と二人で観させ、親は外で待っていることにしたので私は観ていません。本当は一緒に観て感想を言い合ったりした方が子供は嬉しかったかもしれませんが、大人は1800円ですからね…子供向けの映画は大人の方が安くてもいいような気がしますが、なんとかならないものでしょうか。
それはさておき、長男が観たいと言っていたのは「ダレン・シャン」です。小学生あたりに大人気らしいファンタジー小説の映画化なのですが、原作を読んで面白かったようなのでかなり期待していたようです。こちらの方はちょっと次男には早すぎるので、私と二人で観てきました。
元が児童向け小説ではありますが、ヴァンパイアものということで実は私も結構楽しみにしていました。私が言うのもなんですが、欧米ではヴァンパイアものの人気に根強いものがあるのはどういうわけなのでしょうね。ミステリアスなところがいいのでしょうが、要するに妖怪ですからね。でもこの作品の場合はちょっとユニークな解釈が加わってまた新しいヴァンパイアの世界を作り上げているようです。
映画を観ながら長男も言っていたことですが、この作品は小説を忠実に映画化したというわけではなく、主人公の年齢が違ったり、新しい登場人物がいたりしてエピソードに変化が加えられ、映画オリジナルの部分が結構あるようです。特に小説ではもっと若い設定の主人公Darrenの年齢が映画では16歳とされていますが、これはそのまま映像化すると子供には惨いものになってしまう可能性があるからか、あるいはあまりに非現実的になってしまうからではないかと思いました。その他の部分もおそらく小説そのままではおどろおどろしいものになってしまうところをあえてサラッと流しているような気がします。
だいたい16歳にしても自分の将来を棒に振って特になりたかったわけでもないヴァンパイアになってしまう主人公に感情移入できる人は多くないと思いますが、登場人物たちが無駄に不気味な人達ばかりでとても万人受けする作品ではありません。日本では相当不振のようで、公開2週目の週末の夜だったにも関わらず観客はわずか3組という散々たる有様です。全12冊のシリーズ小説の映画化ですが、これでは続編は望むべくもありません。実は私も長男も楽しむことができたので本当は続編も是非観たいと思っているのですが、残念ながら資本主義経済とはそういうものです。
あまり有名俳優がキャスティングされていないというのも評判にならない一因であるかもしれません。それなりに名の通っている人といえばJosh Hutcherson、Willem Dafoe、Salma Hayek、そして渡辺謙くらいでしょうか。まあそれもこの作品で与えられる役柄からしてイメージのいいものはほとんどありませんから、みんな嫌がりますよね。これで「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のようにTom Cruise, Brad Pitt, Antonio Banderasというような錚々たる顔ぶれだったりしたら全然違うものになっていたでしょうが…
ということで、原作小説が大人気だったからといって映画が必ずしもヒットするものではないという一つの例になってしまった残念な作品ですが、私のようにヴァンパイア好きならきっと楽しめますよ…って相当ニッチでダメですね。いやあ、でも続きが観られないかと思うと本当に残念…なんて決めつけちゃいけませんが…