Monsters vs. Aliens

映画「アバター」の大ヒットによりかなり身近なものに感じられるようになった3D映画ですが、上映には専用のスクリーンや映写機が必要になるというのも普及の足かせになってきました。しかしこれはシネコンが持つ複数のスクリーンの内いくつかを対応させることで柔軟に運用できるようになったため大きな問題ではなくなったのではないでしょうか。

一方、撮影時には人間の左右の目と同程度の感覚においた2つのカメラを同時に使用し、編集時には2つの映像を同期させて取り扱わなければならないなど、製作時にも専用の機材を必要とし、単純にデータ量が2倍となることもあって製作費の高騰を招いており、やはりある程度のヒットが見込める大作に限られ、すぐにどんな映画も3Dになるということはないのでしょう。もちろん作品の内容的に3Dが合うものと合わないものがあるというのは言うまでもないことです。

しかし、「トイ・ストーリー」に始まる3D CGアニメ作品の場合、もともとデータとしては3Dで作り上げられたものを仮想的なカメラを通して二次元映像に変換することで作られているものなので、このカメラをちょっとずらした位置に置いて映像に変換するだけで3D映画用の映像を作ることができてしまいます。したがって、2D版とほとんど変わらないコストで3D版が製作できてしまうことになります。

だからといってお手軽にできてしまうということではないでしょうが、映画「モンスターVSエイリアン」はいち早く3D版で上映された作品の一つです。残念ながら今のところ家庭で手軽に3D映像を楽しむことはできませんが、2Dでも楽しめる作品でした。

モンスターvsエイリアン  ボブのびっくりバースデー エディション [DVD]
監督:ロブ・レターマン , 他
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2009/11/20)
ISBN/ASIN:B0024NJY30

結婚式の当日、突然空から降ってきた隕石が衝突したことで巨大化してしまったSusanは、捕らえられて秘密基地に隔離され、Ginormicaというモンスターネームを付けられてモンスターとして暮らすことになってしまいます。この秘密基地にはかなり個性に富んだモンスターたちが暮らしていて、Susanも次第に打ち解けることになりますが、ある時地球にエイリアンが襲撃してきて…というような感じです。まあストーリーはお子様向けなのでそれほど凝ったものではありません。

しかし最近の3Dアニメを観る度に驚くことですが、その映像のリアリティの進化には目を見張るばかりです。冒頭の映像からしてこれは実写なのかアニメなのかと判らなくなるほどですが、隕石の質感なんて本当にそこにあるかのような感じです。人物や自動車などはかなりデフォルメされているので、それらがあることで間違いなくアニメだと判るのですが、これらについてもやろうと思えば本物と見分けがつかないものを作ることが可能でしょうし、むしろ実写以上に実物らしく作ることもできることでしょう。ただ、いくつかの理由によってあえてデフォルメされているだけの事です。

ただ、どんなにCG技術が進歩してもどうにもならないのが人物の台詞です。こればかりは仕方が無いので声優が登場することになりますが、最近は俳優が声を担当することが当たり前になってきました。私は今回吹替版という名の日本語版で観たのですが、Susan役のベッキーは可もなく不可もなく、B.O.B.役のバナナマン日村はなかなかうまく演じていたのではないかと思います。その他の役を演じているプロの声優たちはどのように思っているのかは気になるところですが…

やはり日本では大ヒットとはいかなかったのではないかと思いますが、さすがにDreamWorksの作品ですからそんな中途半端なものではなく、楽しい作品に仕上がっているのではないでしょうか。観ても損はないかと思います。