Avatarこの映像は一見の価値あり。

明けましておめでとうございます。少々間が空いてしまいましたが、今年最初の記事になります。始まる頃は長いように思っていた私の連休も今日で終わりですが、皆さんは年末年始をどのように過ごされたでしょうか。私は前の記事に書いたように蓼科でスキーをして、そのまま実家へ行ってきましたが、毎日何かと予定があったためあっという間に終わってしまったような感じです。

ということで、そろそろ通常運転に向けて調整していかなければいけませんが、昨晩は今年最初の映画としてJames Cameron監督の超大作「アバター」を観てきました。昨年末に公開されて以来、記録的な大ヒットとなっている作品ですが、当初私は劇場では観ずにDVD化を待つ予定でした。しかし、マスコミがいくら騒ごうが宣伝費をいくらつぎ込んだかという違いでしかないので気にも留めないのですが、ブログやTwitterのつぶやきでの評判が非常に良いので徐々に観なければいけない気になってきたのでした。やはり利害の絡まない声の方が信憑性が高いものです。これは新しいタイプのクチコミですね。

さて、この作品には巨額の制作費がつぎ込まれているわけですが、その一番の原因となっているのが3D化だと言われていますので、観るのであれば3D版の方にしなければもったいないというものです。今のところ家庭では3D版を観ることはできませんから、劇場公開されているうちに3D版を観ておかなければなりません。幸いいつも行っているシネコンでも3D上映が行われていますが、対応スクリーンは1面しかないようなので、この作品の他に「カールじいさんの空飛ぶ家」も3D版が上映されているため字幕版はレイトショーの1回のみとなっていました。せっかくの休日なので昼間のうちにとも思ったのに残念ですが、安く観られるので良しとしましょう。

現在一般的な3DシステムはRealDDolby 3DXpanDの3種類があるようですが、私が観たところはRealDのシステムでした。どれも専用の眼鏡を掛けて観ることで立体視することができるものですが、それぞれ異なる原理で映写されているため眼鏡も異なるものが使われています。2年前のCnetの記事によるとその眼鏡のコストがDolbyでは50ドル、RealDでは5セントと非常に大きな開きがあります。現在ではDolbyの方も多少は低コスト化されているでしょうが使用後に回収されるのに対し、RealDでは使い捨てとなっています。また、私は映画を観るときは眼鏡を掛けないといけないのですが、このような場合Dolbyの方は自分の眼鏡の上から3D用眼鏡を掛けなければいけないのに対し、RealDの場合は眼鏡に付けるクリップオンタイプの3Dフィルターを購入して使用することで快適に観ることができました。このフィルターの価格は300円ですが、一度購入しておけば他の3D映画を観るときにも使えるので、快適さを考えれば良いのではないかと思います。

上映開始前に待合室で「アリス・イン・ワンダーランド」など各種3D映画の予告を3Dモニタで観ることができたのですが、3D眼鏡を通して観るとこの映像はなかなか衝撃的なものでした。予告編ということで3D映像を強調したものになっているのかもしれませんが、これを見ていると家庭のテレビが3D化されるのもそう遠くないことなのではないかと思えました。解像度の面では技術的な限界よりも実用的に十分なレベルを先に迎えてしまったので、今後は3D化に向かうのはやはり間違いなさそうです。現にBlu-ray 3Dの規格化は終了し、今年中には家庭でも3D映像が楽しめるようになるということですから、リアルタイムの放送が3D化されるのも時間の問題ではないでしょうか。

3Dに注目するばかりに話はかなりそれてしまいましたが、本編映像はやはり凄いものでした。Steven Spielbergが「スター・ウォーズ」以来のSF映画と絶賛したというだけのことがありますが、その壮大な世界観が破綻なく描かれているのはさすが巨匠James Cameron、さすがLotRWETAといったところです。彼らの妥協を許さない作品作りの結晶と言えるものでしょう。いくら3D映像が凄いと言っても、そのベースとなっているのは2Dと同じ緻密な作業の繰り返しのはずです。

3D映像というとこれまではその立体感をことさら強調するような、手前に物が飛び出してくるようなものばかりでうんざりするものでしたが、この「アバター」ではそのようなシーンは一切ありません。どちらかというと3D技術は映像の奥行きを感じさせる方向に活かされていて、舞台となっている惑星Pandoraの世界に入り込むような感覚を得ることができます。

と、ここまで映像のことばかり書いてきたので、映像が凄いだけで映画としてのストーリーはおざなりになっているのではないかと思うでしょうが、実は映画が始まってからも途中までは私もそう思っていました。しかし、161分という長めの上映時間の間退屈するようなこともなく、思いがけず終盤はすっかり物語にのめりこんでしまいました。これだけリアリティーのある映像を見せられているということもあって、Pandoraという星が実在して、本当にNa’viという種族が暮らしを営んでいるのではないかと錯覚してしまうほどです。

結局、最初はそれほど期待していなかった私もすっかり見直し、観たがっていた長男を連れてもう一度観たいという気になってしまいました。その際は吹き替え版になりますが、字幕版よりも映像に没頭することができてちょうどいいかもしれません。ということで、観てみるかどうかと迷っている方は、是非体験してみることをお勧めします。