Unstoppableこれに近いことが現実に起こっていたとは。

今日は小学校のPTAの行事で妻子が出掛けてしまったのですが、私は昨日長男をサッカーの試合に連れて行ったため免除となったので、日曜日をひとりで過ごすことになりました。となると無為に時間を過ごすのが嫌いというか苦手な私は何をしようかと早速考えたのですが、一人の時こそすべきことは何か、といっても急にできることは限られていて、結局気分に任せて映画を見に行くことにしました。一昨日「ソーシャル・ネットワーク」を観たばかりですが、ここは贅沢に2作品も観てしまうことにして、まずは「アンストッパブル」です。

この作品は2001年に実際に起った事故を元に作られたものということですが、実際にあったことだけでもかなりドラマチックで、まさに映画化にうってつけの出来事と言えるでしょう。ただ、それも幸いにも犠牲者がなかったから言えることで、仮に何人かの死傷者を出していたとしたら被害者感情を考慮しなければならず、具体的に自己を連想させるような設定にはできなかったでしょう。

さて、実際の事故は置いておくとして、この映画の設定では事故の発端は作業員の怠慢とミスとが重なって起こってしまったものです。操車場で貨物列車の操車場で作業に当たっていた運転士が、ブレーキホースが接続されていないのに気付いていながら放置してしまったこと、目の前のポイントが正しく切り替わっていないのに気付いて低速走行中の機関車を降りポイントを切り替えに行ったこと、そしてその際にブレーキを適切に操作しなかったことです。このため機関車は運転士を残したまま加速を始め、無人のまま走り去ってしまったのでした。もちろん機関車にはいくつかの安全装置があったのですが、ブレーキホースが接続されていないことで無意味になってしまったのです。悪いことにこの列車の積荷は大量の燃料と引火性の有毒物質が積まれており、さらに行先の大都市には急カーブが待ち受けているという、これでもかと言わんばかりの設定です。

そしてこの映画、ほぼ最初から最後まで全編がクライマックスではないかというほど緊張感と迫力あるシーンの連続です。上映時間は98分と短めですが、それだけにコンパクトにギュッと詰まっていて、終わったあとで物足りなさを感じることはないのではないでしょうか。逆にこれ以上長いと虚脱感がありそうです。

暴走列車を停めることになったヒーローはDenzel Washington演じるベテラン運転手とChris Pineの新米車掌です。Denzelはいつもの彼らしい演技でどこかで見たような感じがしてしまうのですが、それもそのはず、この作品の監督はTony ScottでDenzelとは「デジャヴ」と「サブウェイ123 激突」に続いてのコンビなのでした。しかしこれらの2作品とも私は非常に気に入っていて、またこの「アンストッパブル」も期待以上に楽しむことができたので、きっとこのTony Scottという監督の作品が私好みということなのでしょう。これまであまり監督のカラーというのは意識していませんでしたが、これら3作品に共通する演出を考えてみると確かに私のツボにハマるもののような気がします。

ということで、よくある「暴走列車モノ」ではあるのですが、実際の事故を元にしているというだけあって実にリアリティのあるものになっていて、娯楽作品として非常に良く出来ていると言えるのではないでしょうか。ただ一つ気になったのは、機関車の前照灯のうち壊れてしまった1つの左右の位置が途中で変わってしまっていることですね…きっと単純なミスなのでしょうが、ひょっとしたら途中で気付いたものの作り直すには金が掛かり過ぎるということで見送られてしまったのでしょうか。だとするとこの事故の原因を作った作業員を責めることもできないような…