The Green Hornet深く考えると損です。

ずいぶん間が空いてしまいましたが、先週の日曜日に観た2本目の映画は「グリーン・ホーネット」です。実はつい最近までこの作品はマークしていなかったのですが、トレイラーを観たときに不思議と引っかかっていたのと、先日デトロイトのオートショーに行ったときにロビーにこのグリーン・ホーネットのブースが出来ていて飾られていた車が妙にカッコ良かったので観てみようかという気になったのでした。

この作品はもともと1936年から1952年にかけてラジオドラマとして放送されていたのが最初で、その後1966年にテレビドラマ化され、日本でも放映されていたものが元になっているのだそうです。といっても私の生まれる前の話ですからどういう話なのか全く知らなかったのですが、そういう時代の作品ということでこの映画の方も何ともクラシカルな雰囲気の漂ったものになっています。

主人公のThe Green HornetことBritt Reidはロサンゼルスの新聞社デイリー・センチネルの社長だった父親が亡くなってそれを継いだ大富豪、相棒のKatoは元使用人という設定の時点でかなり時代がかったものになっています。この二人が実に不純な動機でロサンゼルスの街から悪を無くしていこうと活躍を始める、というような話です。新聞社の社長程度でそんな資金があるものなのかというのも不思議なのですが、それだけではないのかもしれません。

このKato、英語では「ケイトー」と発音されていますが、日本人名の「加藤」が元になっているのは間違いないでしょう。しかしこの人、日本の上海生まれで喋るのは中国語…日本人や中国人には納得行かないところでしょうが、一般の欧米人のアジアに対する知識なんてこんなものです。特にラジオドラマが始まったのは第二次世界大戦前ですからなおさらですし、その時点で間違っていたものをあとから変えるわけにもいかなかったということでしょう。
Black Beauty
この作品で二人が活躍できるのはこのKatoが発明家で、様々な武器を開発するからで、この二人が乗る車Black Beautyも秘密メカ満載の子供心をくすぐる乗り物になっています。私自身がこの作品を観るきっかけになったのものこの車ですから、この車の活躍こそが最大の魅力と言っても過言ではないかもしれません。ベースになっているのは1960年代のFord Imperial Crown Sedanだそうです。

私が観たシネコンでは2D版のみの上映だったのですが、3D版も公開されているということで、映像的に3Dを意識して「飛び出し感」を強調したようなシーンがいくつか見られました。こういうシーンを2Dで見ると漠然とした不自然さを感じてしまいますが、私も後で「そういえば3D版もあるんだった」と思いだすような程度だったのでそれほど問題というわけではありません。

字幕の方で一つ気になってしまったのは、Brittがギャングに話しかけるときの”¡Hola!”という台詞に「コモエスタ」という字幕が付いていたことです。”¿Como estas?”というのはスペイン語で「元気?」というくらいの意味で英語の”How are you?”に当たるようですが、”¡Hola!”は”Hello!”に当たるものです。確かに元の発音通り「オラ!」と書いてしまうと字面だけでは威嚇しているように見えてしまうので問題があり、一方「やあ」としてしまうとスペイン語で話しかけているということが伝わらないということでこういう判断になったのでしょう。しかし、ギャングがスペイン語を喋るというのは日本ではそれほど意味のあることではなく、ここでは親しげに話しかけているということが重要だと思うので、「やあ」なり「よう」なりで良かったのではないかと思います。まあ、それほどこだわるわけではないのですが。

全体的には主演がカッコ良さとはちょっと縁の無さそうなSeth Rogenということもあり、ちょっとおふざけの過ぎるコメディにアクションが加わったような形になっています。こんな映画にヒロインとしてCameron Diazが出ているというのも意外な気もしましたが、「チャーリーズ・エンジェル」も今観るとふざけた映画ですし、きっと嫌いではないのでしょう。ちなみにここで「ふざけた」と言っているのはそんなに悪い意味ではありませんので、念のため。