LASKOまさに「所変われば品変わる」。

深刻な電力不足が予想される日本では、この夏の暑さはいっそう厳しく感じられるのでしょうか。あるいはひょっとすると、皆がエアコンを弱めに設定することでその排熱が弱まり、特に都市部では逆に外気温が平年より下がったりするのではないかなどと思ってみたりもしますが、やはりそんな単純なものではないのでしょうね。アメリカではそんな日本の状況など全くお構いなしに、気温が20℃を超えた頃からすでにエアコンが入り始め、商店や私の勤務先の事務所なども半袖では肌寒いくらいです。

しかし、さすがに自宅ではそんなにエアコンをふんだんに使っていると電気代がかさんでしまいます。こちらでは全館集中冷暖房ですので、冷やす必要のない部屋まで冷やさなければいけないのでもったいないですし、また風量も強力ではないので冷えるまでに時間がかかります。しかし、日本と違って安心して窓を開け放すことができないのも問題です。私の住む地域は安全な住宅地ですが、同じ市内でもたまに銃犯罪により死者が出たり、窃盗事件が起きたりしているようです。こちらの泥棒は間違いなく銃を持っているでしょうから、日本の泥棒とは段違いの怖さがあります。

ということで、やっぱり扇風機が必要なのですが、電源電圧が違うため日本からは持って来なかったので、何か買わなければと思っていました。こういう時もせっかくだからアメリカらしいものを、と思ってしまうのですが、ちゃんとアメリカらしいものが見つかりました。むしろ日本的な扇風機の方が珍しいくらいでしたが、今回購入したのはLASKO Productsという会社のBox Fan 3733という製品です。実はこの製品は日本のAmazonなどでも購入できるようですが、Amazonの最安値が5600円なのに対し、こちらでは特売で$24.99とおよそ半額でした。

見た目からして日本の家庭用扇風機とは全く異なるのですが、業務用では似たような形状のものがあるかもしれません。厚さ10cmほどの角丸四角のケースに入った20インチのファンなのですが、脚などはなく床に直置きになります。角度調節などもなく、垂直に立てた本体から正面に風が出てくるという非常にシンプルな設計です。ちょっと上向きに風がほしいと思っても傾けておくことはできないので、椅子に座った上半身に風を当てたいと思ったらちょっと高い台の上に置くしかないという、とても21世紀の製品とは思えない割り切りは日本のメーカーには不可能ですね。
LASKO 3733
風量は3段階の調節ができるのですが、一番弱い”1″の設定にしても結構な強風です。大風量を売り物にしていると、逆にそよ風のような風量で回すというのは難しいのでしょうね。ファンの羽根の形状は1枚1枚が葉っぱのように先がすぼんだ単純なものになっていて、風量を稼ぐために最適な形状とは思えないのですが、これでいいのでしょうか。日本の扇風機はもっと複雑な形状をしていますよね。また、羽根と羽根の間隔も広く開いています。難しいことを考える前に大きくしてしまえということなのでしょうか。

側面とファンを支えるフレームは金属で、それ以外は軽量な樹脂でできているため、大きななりの割にはかなり軽くできています。持ち運びもラクラクということのようですが、風の向きを変えるにも持ち上げるしかないので当然ですね。風量を最強の”3″にすると後ろに倒れてしまいそうですが、それを防ぐために長さ5cmほどの小さな脚が後ろに出ています。まあかなり大雑把な製品です。

一番の問題はちょっとうるさいことです。ファンの前後には格子状のガードが付いているのですが、このガードの成形の質が低く、前後の型がズレてしまっていてなめらかな断面になっていないので、その段差が音の大きな発生源になっているのではないかと思います。わずか2000円ほどの製品ですからその程度のものと思わなければいけないのでしょうが、このレベルのもので高らかに”Made in the USA”と謳ってしまっていいのでしょうか。まあその下にちょっと小さい字で”With Domestic & Imported Parts”とあるので、これらはどこかの国で安く作っているのかもしれませんが… しかしこんな安っぽいものでも日本で見るとオシャレに見えてしまったりするのでしょう。やはり電圧の違いがあるので日本に持って帰るつもりはありませんが、電圧が低い分回転速度が落ちて弱風になり、音も静かになったりするのかもしれませんね。