Fallingwaterやっぱり素晴らしい!

旅行の記録もいい加減しつこいようですが、5日目は完全な移動日になりました。テネシー州ピジョン・フォージからバージニア州を抜けてウェストバージニア州北端の町、モーガンタウンまで670kmほどの距離を一気に移動しました。ちょうど東京-岡山間と同じ程度の距離になるようですが、車線が広く大した渋滞もないので非常に走りやすく、あまり疲れを感じませんでした。

モーガンタウンにはウェストバージニア大学が本拠を構えており、大学を中心とした町のようです。ダウンタウン周辺には煉瓦色の建物が並んでおり、特に大学の建物は歴史を感じさせる重厚なものでしたが、一方で街を歩くのは若い人が多いようでした。夕方到着した私達はここでは夕食を取るのみでしたが、今回はたまには日本食にしよう、ということでまたYelpの評価を参考にYamaという店に行ってみました。
California Rolls @Yama
最初いきなり英語で対応されてしまったのでアメリカでありがちなコリアンジャパニーズだったかと焦ってしまいましたが、その後家族の会話からこちらが日本人だとわかったらしく日本語での対応となりホッとしました。学生向けらしく低価格メニューが並んでいましたが、日本人シェフなので味の方はまさしく「日本食」です。私はあえてカリフォルニア・ロールを注文しましたが、周りにまぶされたとびっこが美味しく、酢飯の加減も甘すぎず酸っぱすぎずバッチリでした。家族の食べたラーメンやタコ焼きも日本で食べるのと変わらない、日本の味で大満足です。ただ、他には誰も客が居なかったのですが、それはきっと気づかず閉店間際に入ってしまったせいなのでしょう。

ところで、どうしてモーガンタウンに宿泊することにしたかというと、そのすぐ北に1時間ほど走ったところにあるFallingwaterFrank Lloyd Wrightの代表作である落水荘を見に行くためでした。少しでも混雑を避け、午前中の綺麗な光線の中で見るために満を持して前日泊としたわけですが、実は落とし穴があることに周遊プランが完成した後で気づいてしまいました。ここでも館内はツアーに参加して見て回ることになっているのですが、4月から11月の間は毎日開催されていると言いながら「水曜日は除く」とあるのです。そして今回のプランでここに来るのは水曜日となっていました。まあ今さらプランを変えるのも面倒だし、庭から外を見ることはできる(ただし有料)ということ、またツアーに参加しても通常のツアーは写真撮影不可ということなので、やっぱり見たいと思えばまた行ったらいいじゃないか、と強行することにしました。

森の中を通ってゲートに到着すると、そこで人数分の入場料、大人も子供も1人$8を徴収されます。そしてそのまま駐車場に進んでみると、停まっている車は2,3台のみ、しかも観光客という感じではありません。ひっそりとしたビジターセンターや閉まっているミュージアムストアを横目に順路に従って庭へ出ても、客の姿はありません。やはり中へ入らなければ意味が無いと普通の人は考えるのでしょうか。しかし、実際に見てみると外から見るだけでもそれなりの価値はありました。外といっても建物の間の通路は歩くことができますし、中を覗き込むことも可能です。そして覗いてみるとやっぱり中も見たい…と思うのですが、これはこれでいいのではないかと思えます。ただ、水曜日はメンテナンスに充てられているのか、内外で掃除などの作業が行われていたので写真を撮る邪魔になってしまったのは仕方のない事でしょう。

それにしてもやはりWrightの傑作といわれるだけあって、直線基調の特徴的なデザインが絶妙なバランスで自然と調和した素晴らしい作品です。小川の流れもその作品の一部としてしまっていますが、建物の中から見た時にはどのように見えるのか興味が湧いてきます。そういう意味でもやはり中に入らなければダメということなのかもしれません。これはまたいつかちゃんと見に行くべきでしょう。できればその時は新緑の美しい時期を選びたいところです。
Out Of The Fire Slow Roasted New York Strip Sandwich
と、じっくりFallingwaterを眺めた後、昼食はここから北東へ30分弱走ったところにあるOut of the Fire Caféというところで摂ることにしました。もともと片田舎なので大した期待も抱かずに入ったのですが、ここは素晴らしい店でした。今回の旅行で食事をした中で最高ということで家族の意見が一致しています。料理が美味しいということはもちろん、美しい盛りつけ、清潔で明るい店内、にこやかで親切丁寧な接客、そして案内された大きな窓の際の席からは雄大な自然が一望、とまったく非の付け所がありません。確かに料金はやや高めではありますが、それ以上の価値のある時間が過ごせることは間違いなく、Fallingwaterを訪れるすべての人にお薦めしたいところです。ここで私はOut Of The Fire Slow Roasted New York Strip Sandwichというシグネチャーディッシュである煮込んだ牛肉のサンドイッチを食べましたが、もちろん素晴らしい美味しさでした。肉は非常に柔らかく味付けも上品、サイドのスイートポテトフライも表面カラッと中は柔らか、塩加減も完璧でした。
Duquesne Incline
食後はさらに1時間ほど、今度は北西方向へ走り、この日のホテルを予約していたペンシルバニア州第2の都市ピッツバーグへ向かいました。まずはチェックインを済ませて一休みして、向かったのはDuquesne Inclineというインクライン、一種のケーブルカーです。そもそも、インクラインというのは貨物用のものを指すようなのですが、その後旅客用に転用されたためインクラインという名が残っているということのようで、実態としてはケーブルカーそのものです。ピッツバーグという街は2本の川の合流地点にありますが、その川のすぐ際に小高い丘が迫っており、このインクラインに乗ることでその丘を登ることができます。麓の駅のそばには無料駐車場があるのでここに車を停めて真っ赤な可愛い車両に乗って頂上の駅に着くと、眼下にピッツバーグの街並みが一望できます。
Pittsburgh
ただ真っ直ぐ登るだけなのでどうということはないのですが、斜面はなかなか急なので他の建物などはありません。したがって頂上からの見晴らしは素晴らしく、ゆったりした流れの川とそこにかかる数々の橋、そして三角形の土地の部分に立ついくつものビルとからなる立体的な造形は美しいものです。ただ、当日はちょっと風が強くまだ気温も低かったので長時間眺めていることはできなかったので、やはり暖かい季節に行かれることをお勧めします。