ナッシー梨だけでここまでやれば。

日本のの名産地といえばどこを思い浮かべるでしょうか。生産量で言えばふなっしー船橋市がある千葉県が全国一位のようで、現在はそれに大きく水を開けられてしまってはいますが、鳥取県は長らく日本一の座にあったせいか梨の産地というイメージが強いように思います。しかし、鳥取県の主力は二十世紀であるため、幸水や豊水といった赤梨に人気が移ってしまった今は押され気味ということのようです。

その鳥取県は私が住む兵庫県の隣りにあり、私の自宅から鳥取県庁までの道のりが100km少々ということで、ちょっとしたドライブで行くことができます。山陰は空いている道路が多いので快適なドライブが楽しめるので私はちょくちょく走りに行っているのですが、夏から秋にかけては道の駅や直売所で売られている梨を買って帰るのも楽しみの一つになっています。規格外のものなどを格安で買うことができたりするのは産地ならではのことでしょう。

地理的にこの鳥取県の中心部にある倉吉市には鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館という、梨というたった一種類の果物をテーマにした博物館があります。しかも館名に「二十世紀梨」という品種まで掲げてしまっており、そこまで二十世紀に依存してしまっていいのか心配になってしまいますが、実際の展示内容はもちろん他品種も含め梨全般に渡ったものになっています。

300円という微妙な金額の入館料を払って館内に入ると大きなホールに出ますが、中心には「二十世紀梨の巨木」が骨格標本のように見事な枝ぶり根の張りを見せて展示されています。そしてこのホールの周りに展示室が並んでいる形になっていて、様々な品種や鳥取県における梨栽培の歴史、梨の栽培方法などが解説されています。また、キッチンギャラリーでは梨の試食を提供しており、私が行った時には全部で5種類の梨の食べ比べができるようになっていました。よく冷えていたせいもあってどれも非常に美味しかったのですが、一番気に入ったのは「新甘泉」という品種でした。

また、「梨と生きる『二十世紀梨』ものがたり劇場」では梨栽培の歴史を10分間の映像とロボットとで教えてくれます。30分に1回の上映となっており、たまたま私がここに行ったのが開演3分前だったので座って観てみることにしましたが、梨農家風の劇場を独り占めして落ち着いて観てしまいました。それほど特別驚くようなことはありませんでしたが、なかなか臨場感はあるのではないでしょうか。

展示を見終わった後は、同じ建物にあるフルーツパーラーで梨を中心とした果物を使った各種のデザートを楽しむことができます。私は梨ソフトクリームを買って外に出て食べてみましたが、二十世紀梨をピューレにして使っているというだけあって、梨らしい爽やかさがとても美味しいソフトクリームでした。梨ソフトクリーム自体は鳥取砂丘など県内のいろいろなところで食べることができますので、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。

なお、このなしっこ館の館内にもおみやげコーナーはありますが、ちょっと高級な梨しかないようだったので私はここでは買わず、いつも帰りに立ち寄る物産館みかどという直売所で、新高梨をケースで購入して帰りました。普段食べているものよりも大ぶりの梨なので冷蔵庫で冷やすのにも時間がかかりますが、1個剥いてもらって食べたところ瑞々しく甘く、とても美味しかったです。私が最も好きな果物はマンゴーや桃ですが、日常的に食べられる果物の中では梨が一番かもしれません。