東京モーターショー2017車の売りは何なのか。

学生時代から、おそらく運転免許を取得してから自動車好きとなり、それが高じてなのか何なのか一応自動車関係の仕事をしている私にとって、東京モーターショーといえば2年に一度のお祭のようなもので、以前は毎回欠かさず見に行っていました。しかしそれも2005年の第39回までのことで、理由は忘れましたが2007年には行かず、そして2008年のリーマンショックの直撃を受けた2009年の第41回では規模が大幅に縮小されて海外メーカーのほとんどが出展を取りやめてしまったこともあって入場者数が激減するという大変な年でした。私は主に輸入車を楽しみにしていたのですっかり意気消沈してしまい、このあとも自然消滅的に見に行かなくなってしまったのでした。しかし今年はなぜかふと思い立ち、2005年以来5回12年ぶりに足を運んでみました。

私が行っていた頃の会場は幕張メッセだったのですが、東京ビッグサイトができて移転してからの参加も初めてとなります。そういえば晴海の東京国際見本市会場へも父に連れられて行ったのをなんとなく覚えています。東京ビッグサイト自体には他のイベントで何度か行ったことがありますが、ここはホールが東西に分かれてしまっていて渡り廊下がちょっと長いので、その点はだだっ広い幕張メッセの方が良かったような気がします。私はJR埼京線から直通のりんかい線に乗って行ったのですが、開場が9時だと思い込んでいてちょうど9時に到着する電車で行ったため、会場前で1時間近く待つはめになってしまいました。しかし、開場時刻にはかなり多くの人が並んでいたので、結果的にスムーズに入場できたのは災い転じて福となすということでしょうか。

今回、まずは一番混みそうなトヨタを最初に見ておこう、と行ってみたのですが、ここでまず失望を味わうことになりました。そもそも私はトヨタ車が好きではないのですが、それは別として、がっかりしたのは技術展示が「まったく」無いということでした。市販車を見るならショールームにでも行けばいいことですし、コンセプトカーのハリボテを見ても私には何も面白いことがありません。そのコンセプトカーにどのような技術が込められているのか、というのが見たいところなのではないでしょうか。

しかしこれはトヨタに限ったことではありませんでした。他の多くの自動車メーカーが似たようなもので、ただ一社違っていたのがマツダです。マツダブース内で一番の人だかりができていたのはコンセプトカーでもレース仕様車でもなく、SKYACTIV-Xのエンジンです。SPCCI(火花点火制御圧縮着火)なる新しい燃焼方式で究極の燃焼効率を目指しているもので、技術そのものへの関心のみならず、純粋に技術で勝負している姿勢も多くの来場者の注目を集めていたのではないでしょうか。

また、今回の各社のブースではVRを使用した展示がかなり目立っていて、どこでも順番待ちの行列ができていました。しかし、これは目新しさで人を集めているだけで、コンテンツはともかくVR自体は自動車の技術とは直接関係のないものなので、私には白けるばかりでした。ただ、列に並ぶ気になれず体験していないので、実際に見てみるといいものだったりしたのかもしれませんが、そんなに並ばなければわからないようなものが良い展示であるとは言えないと思います。

ちなみに、実は一番楽しみにしていたMINIが出展していないというのは行ってみてから知ったという愚かしさで、今回は下調べをあまりにサボりすぎたと少々反省しています。しかし、一応一通りカーメーカーのブースは見て回りましたが、若い頃のように心躍るようなものはなくて、もう次はやっぱりこないかな…という感じです。インターネットのおかげで会場に行かないとわからないような情報はほとんどありませんしね。