熊本県内の路線バス事業者5社が2024年中に全国交通系ICカードの取り扱いを停止する(PDF)というニュースを見つけました。私は熊本に何度か行ったことがあるものの、バスには乗ったことがないので直接的な影響はなにもないのですが、ひょっとするとこれは終わりの始まりなのではないかととても気になるニュースでした。

きっかけとなっているのは決裁機器の更新時期が迫っており、交通系ICカード対応の機器は更新に12億円程度の費用がかかるのですが、代わりにクレジットカードのタッチ決裁などに対応した機器にすれば6億円程度で済む、ということのようです。差額6億円と引き換えに交通系ICカードは使えなくなるけれど、クレジットカードやQRコード決済は使えるようにするということです。

冒頭のリンク先のプレスリリースではユーザーにとってのメリットだけが並べられていて、デメリットについては一言も触れられていません。私は電車やバスの乗車時にはiPhoneでモバイルSuicaを主に使っているので手に持っているiPhoneをタッチするだけで済みますが、これが使えなくなるとすると財布からカードを取り出したり、QRコードを表示するためにアプリを起動したりする手間が増えるので、だいぶ利便性が低下するように感じてしまいます。

これが熊本だけのことであればおそらく私には影響しないので良いのですが、この動きが他の地域の事業者にも伝搬して、一気に脱交通系ICカードに傾いてしまったりするとちょっと困ります。しかし、Suicaのシステムももう世代的には古く感じるところもあり、無駄に高コストなシステムになってしまっているのではないかというのは以前から感じていたところです。各地の私鉄でもクレジットカードのタッチ決済やQRコード決済に対応した自動改札機の導入が進んでいたりしますが、最終的には全国交通系ICカードはJR各社だけのものに戻ってしまうのでしょうか。

しかし、結局私がこだわっているのはApple Walletのエクスプレスモードに設定できるかということだけなので、クレジットカードを設定できるなら実はそれで何の問題もないのかもしれません。この脱交通系ICカードの動きが加速すれば、大手クレジットカード会社であれば対応してもらえるかもしれませんね。