「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は」というねとらぼの記事で知った話ですが、一般社団法人キャッシュレス推進協議会なる団体が大阪万博に向けてキャッシュレス決裁の普及を推進するために、完全キャッシュレス店舗とキャッシュレス利用可能店舗に表示するピクトグラムを公募し、選定された最優秀図案を公表しました。

しかしこれらは「ピクトグラム」と呼んでいいものなのでしょうか。

ピクトグラムの公式な定義として参照すべきものがよくわからなかったのですが、国土交通省のウェブページには次のように書かれています。

案内用図記号(ピクトグラム)とは、不特定多数の人々が利用する公共交通機関や公共施設、観光施設等において、文字・言語によらず対象物、概念または状態に関する情報を提供する図形です。視力の低下した高齢者や障害のある方、外国人観光客等も理解が容易な情報提供手法として、日本を含め世界中の公共交通機関、観光施設等で広く掲示されています。

ねとらぼにも書かれているように、「文字・言語によらず」というところが重要なのではないかと思うのですが、選定された図案では「A」の文字がデザインされているだけで、あとはただの英語です。たしかに小学生でも「OK」の意味はわかるかもしれませんが、「ONLY」はどうでしょうか。また、この文字が目のよくない人にも読めるでしょうか。しかも「CASHLESS」よりも「OK」や「ONLY」の文字のほうが小さいというのはどうかしていると思います。

キャッシュレスというものを図案で伝えるというのは難しいのだと思います。私もどのようなデザインがいいということは言えません。しかし実は、バーコード決済が使えるのかどうか、タッチ決済が使えるのか、現金が使えるのか、それぞれを分けて表示するようにすればもう少し伝わりやすくなるのではないでしょうか。利用者が実際に知りたいのはそういうことではないかと思います。

また、この2種類の「ピクトグラム」だけでは、これらを表示していない店舗が現金しか使えないのか、それとも表示していないだけなのかはわかりません。キャッシュレス決裁に対応しない事業者はこの協議会との関わりがないのでピクトグラムを入手する術がない、ということになるのかもしれませんが、「キャッシュレス非対応」というものも用意しないとこれが判断できず、結局不便は残るような気がします。

まあ外野がケチを付けるだけなら楽な話ということなのかもしれませんが、ちょっと疑問を感じる点が多かったので書かせていただきました。私自身はできるだけ現金は持ちたくないので応援したい気持ちはあるのですけどね。