日本ではあまり普段から頻繁に食べるようなものではありませんが、台湾では朝食にも食べるくらい身近な料理の一つが小籠包です。小さな肉まんのような形の皮の厚い餃子のようなものを小さな蒸籠で蒸したもので、餡にしっかり味がついているので醤油などを付けずにそのまま食べるのが一般的です。餡に煮凝りなどを混ぜて、蒸した時に熱で溶け出してスープを閉じ込めた形になるものを特に湯包(タンバオ)と呼んだりもしますが、それほど厳密なものではなく、「うちのはスープがたっぷりだよ」という店が誇りを持って呼ぶものではないかと思います。
小籠包は私達も大好きなので前回も朝食の時に一緒に注文して食べたりしていましたが、鼎泰豐(ディンタイフォン)のような高級店には行っておらず、地元の人が行くような朝食店で8個500円程度のものを食べています。蒸したてということもあるでしょうが、それでも十分美味しいですし、むしろ鼎泰豐なら日本にもあるので、台湾でしか体験できないローカルなお店を好んで訪問しています。
しかし今回はなぜか最初の朝食のときには小籠包を注文するのを忘れてしまい、食べ終わって満腹になってから気づいたので、初日はお預けで2日目に小籠湯包の専門店、湯包洪(タンバオハン)というお店で朝食をいただくことにしました。このお店は基本的に持ち帰り専門となっていて、店の前の柱に取り付けられている簡易的なテーブルで立ち食いすることもできる、というようなスタイルです。メニューは基本的に3種類の小籠湯包のみというシンプルな構成で、私たちが注文したのはオリジナルを意味する「原味」と、スパイシーな「麻辣」です。
お兄さんがせっせと餡を皮に包んでいる姿を、蒸籠から立ち上る湯気の向こうに見ながら10分ほど待っていると私たちの分が出来上がりました。持ち帰り用の紙の容器なので盛り付けは味気ないものですが、それでも蒸したてで湯気がもうもうと上がるものをいただけるのはこの上ない幸せです。その熱々なものをハフハフ言いながら食べたら美味しくないわけがないのですが、これがかつて食べた中で最高に美味しい小籠包でした。原味のほうは八角が強めに効いているので苦手な人には勧められないかもしれませんが、しっかりと味のついた餡とあふれるスープ、薄めで柔らかくもちもちした皮のすべてが高次元で調和しています。
麻辣のほうは餡がちょっと赤みがかっているのがわかるほどしっかり辛く味付けされていて、これも辛いものが苦手な人には厳しそうです。もちろんこちらもスープたっぷりでとても美味しいのですが、他に紹介されている日本人の方も書かれているとおり、私も原味のほうをお勧めしたいと思います。ニンニクが好きな方はもう1種類の「蒜香」にするのもいいかもしれませんが、小籠湯包本来の美味しさを味わうならやはり「原味」が良いのではないでしょうか。
というわけで小籠包がお好きな方に、湯包洪さんは本当にお勧めです。