日本郵便が今日、「デジタルアドレス」なるサービスの提供を発表しました。「ゆうID」に登録している住所を7桁の英数字に変換できるサービスとされていますが、どちらかというと7桁の英数字を住所に変換という方がサービスの本質ではないかと思います。
デジタルアドレスが紐づけられるのはあくまでゆうIDであって住所ではないので、転居によって住所が変わる場合もゆうIDの住所変更の手続きさえしておけば、デジタルアドレスから変換される住所も自動的に変更できるというメリットがあるようです。最初は「いったい何がデジタルなのか」と思いましたが、ゆうIDというデジタル情報(?)を介していることを言っているのかもしれません。
日本郵便という一企業がこういうサービスを提供することに若干不安のようなものを感じますが、デジタルアドレスから名前を特定したり、名前や住所からの逆引きもできないよう配慮されているとのことです。とはいえ、7文字のコードから現住所を得ることは誰にでもできてしまうので、不特定多数に知られるようなことは防ぐ必要があるでしょう。ただ、もしもの場合はゆうIDの登録をどうにかすれば「身バレ」は食い止めることができるのかもしれないので、直接住所が知られるよりはいいのかもしれません。
これはあくまでサービスとして提供されるもので、ゆうIDに登録している希望者のみがデジタルアドレスを得るということなので、プライバシー上の懸念などから利用を希望しない人には利用しない自由があります。マイナンバーのケースのように管理されることを嫌う人も少なくないようなので、これは重要なポイントだと思います。
このサービスの一環として、同時にAPIの提供も発表されました。実は重要なのはこちらの方で、APIが各種ウェブサイトなどで利用されるようにならないと、デジタルアドレスの方も使う場面が日本郵便で何かをする場合に限られてしまい、ゆうIDを使用するのとなんら変わらなくなってしまいます。これまでも各サイトでの住所入力時に郵便番号から住所の一部まで自動入力されるという機能は一般的でしたが、ここでデジタルアドレスのAPIを使用することで郵便番号と同じ7桁の英数字を入力するだけで住所の入力が済んでしまうようになるわけです。これが普及すれば利用者には便利になるのではないでしょうか。
とはいえ、APIの普及もデジタルアドレスがどれだけ一般的なものになるかにかかっているでしょう。今後は日本郵便もデジタルアドレスの登録者数推移を公表して、APIの普及に努めていくようになるのでしょうか。しかし、このAPI自体は無料で利用可能ということなので、日本郵便がどういう動機でこのサービスを始めたのかはよくわかりません。公共の利益には適うとは思うのですが、企業としての経済的な利益の追求だけではないということなのでしょうか。