リチウムイオン電池はそのエネルギー密度の高さによって電池の新しいあり方を生み出したのではないかと思いますが、一方でそのエネルギー密度そのものが取り扱いに注意を要することになっています。電気自動車のバッテリーでも現在はリチウムイオン電池が主流ですが、事故を起こした時に大炎上したり、場合によっては大爆発を起こしたりといったことがあるようで、また炎上した場合にも中途半端に水で消火しようとしてはいけないなど、身近にある割には実は危険なものです。

リチウムイオン電池はモバイルバッテリーにも使われていて、旅行の際にスマートフォンなどの充電用に持ち歩いているという人も少なくないと思いますが、このモバイルバッテリーを飛行機内に手荷物として持ち込む場合の取り扱いについて、日本国内の航空会社のフライトについて国土交通省から「モバイルバッテリーを収納棚に入れないで!」(PDF)というプレスリリースが発表されました。

これまでもモバイルバッテリーは預け入れ手荷物に入れてはならず、機内持ち込みする必要がありましたが、今回の変更では頭上の収納棚(オーバーヘッドビン)にも入れずに、常に状態が確認できるところ、つまり前席シートバックポケットか、前席下の足元の荷物に入れることになったとのことです。さらにモバイルバッテリーからスマートフォンなどに充電する際、または機内電源からモバイルバッテリーに充電する際は常に状態が確認できる場所で行うこと、とされています。

すでに今年3月から台湾の航空会社ではモバイルバッテリー等の使用と充電が禁止されているので、今回の変更でもまだ台湾の規制よりはだいぶ緩い制限となります。今回の日本での変更も、3月からの台湾の規制も、いずれも今年1月に金浦空港で起こったエアプサン機がモバイルバッテリーの内部ショートが原因とされている炎上事故をきっかけとするものです。この火災も駐機場での離陸準備中に起こったものなのでまだ人的被害は最小限といえるものでしたが、もしもこれが飛行中の出来事だったとしたら、想像するのも恐ろしいことではないでしょうか。もしかすると、原因が明らかになっていないような事故も、本当はモバイルバッテリーが原因なのかもしれません。

多少の制限がかかっても、安全に旅行できることの方が重要なのは間違いありませんし、今回の日本の変更でも利便性はほとんど変わらず、ただちょっと注意することが増えるくらいですから、素直に従うべきでしょう。もっと安全な電池を開発することができるものならそれにも期待したいところですが、エネルギー密度は高まる一方でしょうから、安全性と両立させるのは大変なことでしょうね。