京都・奈良といえば全国各地の学校の修学旅行の行き先として定番であり、多くの人が一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。私も中学の時に転校しなければ行っていたはずなのですが、その機会を逸してこれまで奈良には行ったことがありませんでした。一度生駒にある友人の実家に泊めてもらったことはあるのですが、その時も紀伊半島の南部ばかり遊びに行って奈良市内には足を踏み入れずじまいでした。同じ近畿地方でいつでも日帰りで行ける範囲に住んでいるということで中途半端に近くてなかなか行けなかったのですが、今回大仏と鹿を子供たちに見せようということもあって行ってみることにしました。
奈良へは大阪から阪神高速東大阪線に繋がっている第二阪奈有料道路を通っていくとあっという間に着いてしまい、そのまま直進すると奈良公園に突き当たるという非常にわかりやすい道路になっていて迷いようがありません。ただ、奈良の中心を通り抜ける幹線道路になっているので、どうしても渋滞してしまうのは仕方がないところです。
奈良公園の周辺にはいくつも駐車場があってどこに停めればいいのだろうと思ったのですが、道路脇に立つ「奈良公園郊外無料駐車場」という案内看板を見付け、それに従って行ってみることにしました。いくら郊外とはいっても観光客向けなのだからそんなに遠いはずはない、と思ったわけですが、これは正解でその駐車場というのは奈良教育大学キャンパスの駐車場を開放しているというものでした。ここから奈良公園へは歩いてわずか10分程度の距離ですし、5分足らずのところにあった一日1000円という駐車場との差は大きいのではないかと思います。日曜祝日限定ということだったかと思いますが、これはお勧めです。ただ、それほど大きい駐車場ではなく数十台程度しか停められないので、私たちが着いた11時には既に半分以上埋まっていて、昼過ぎにはもう満車の表示になっていました。
さて、奈良公園に行ってみるとあちこちに鹿がウロウロしていて、近くに行くと頭を下げて餌をねだってくるという人懐こさにちょっと妙な感じがしました。さすがに毎日これだけの人間に会っていれば慣れるのでしょうが、人が教えたわけでもないでしょうにお辞儀をすれば餌がもらえるなんていうことはいつの間に学習したのでしょうか。鹿せんべいを売る人もあちこちにいますが、代金は鹿の保護に使われるとかで売り方も押しつけがましくないのが好ましい感じです。
今回一番のお目当てである大仏を見にまずは東大寺へ向かいましたが、私は最初にくぐる南大門のスケール感にまず圧倒されてしまいました。これまでに色々なところで寺の門はいくつも見てきましたが、ここまで巨大なものは目にしたことがありません。これだけのものが1199年という800年以上も昔に作られて今もしっかり残っているというのは凄いことです。海外ではもっと古い建築物も珍しくはありませんが、これは木造ですからね…また現代では技術的に可能であったとしても実現しないのではないでしょうか。さすが国宝です。そのまままっすぐ進むと重要文化財の中門がありますが、これはそれなりで何とも思えません。やはり国宝と重文の違いは結構大きなものです。
中門の奥には大仏を覆う大仏殿である金堂がありますが、これも国宝ということで相当に立派な建物で、これもまた見応えがあり、単なる大仏の屋根ではありません。写真で見るだけではその大きさはなかなかピンとこないものですし、実物を目にしてもあまりの大きさに実感が湧きにくいのですが、中に置かれている高さ2~3mほどもあるシャチホコを見ると改めて驚きます。
この中にいる大仏は盧舎那仏というのだそうで、これまでに幾たびにも渡り修復が行われているとはいえ、752年に開眼供養会が行われたという気が遠くなるほど昔にこれほど大きな仏像が作られたということが凄いことです。当時の技術でもこれだけのものを作ることができたということは、この1000年あまりの技術の進歩も分野を限れば大したものではないように思えてしまいます。
今回はこの大仏を見るまでのところで目的はほぼ達成してしまい、あとは鹿にせんべいをやってウロウロ歩いてお土産を買って帰ってきたのですが、奈良にはこのほかにも数多くの国宝や重文が存在し、とても1日では全てを見ることができそうにありません。また奈良公園周辺は古都奈良の文化財ということで世界遺産に登録されているわけですが、奈良ではこのほか法隆寺なども法隆寺地域の仏教建造物という別枠で登録されていて、いつの間にか世界遺産めぐりが趣味になりつつある私はこちらの方も見に行かないわけには生きません。ただちょっと子供には受けなさそうなのが難点なのですが…