発想の転換から新技術
先日文房具店に行った際、長男が「消せるボールペンが欲しい」と言うので「そういえば自分も昔欲しいと思ったなあ」などと思い出し、せっかくだから買ってあげようかと一緒に見に行ってみると、どうも私が知っている昔からあるそれとは雰囲気が違います。昔のものはあくまで油性ボールペンであって、その特殊なインクを普通の消しゴムで消し取ることができるというものだったわけですが、そこにあるものは最近流行りのゲルインクのボールペンで、それを消すのはペンの後部にある固いゴムでした。
これはパイロットの「フリクションボール」という製品で、昨年2月から発売されているというものでした。なんでも
温度変化によりインキを無色にする新開発の「フリクションインキ」を搭載した新発想のボールペン。「フリクションインキ」には消色温度が設定されているため、筆跡をボディ後部の専用ラバーで擦ることで生じる摩擦熱によりインキの色が無色に変わり、筆跡を消すことができます。
ということでインクを消し取るわけではなく、インクは無色化してそのまま残っているというなかなか画期的なもののようです。このため、消しゴムで消したときのように消しカスが出ないという利点もあると謳われていますが、それよりも「書いた跡は残ったとしても消した跡は残らない」というのがいいのではないかと思います。無理やり消しゴムで消そうとして汚くなってしまったという経験は誰にでもありますよね?
ただ、この素晴らしいインクにも弱点があって、温度変化により無色化してしまうため高温環境では勝手に消えてしまうということになり、
証書類・宛名書きには使用できません。
という注意書きで用途が制限されています。まあ証書に使おうとはあまり思わないでしょうが、失敗することの多い宛名書きに使えないというのはなかなか厳しい制限です。またこの「消える温度」は60℃に設定されているということなので、真夏の車のダッシュボードに放置したりすると消えてしまうこともあるのではないかと思いますが、それ以外日常的な用途ではなかなか60℃という温度になることはないので大して問題になることはないでしょう。
ということですっかり感心してしまった私は長男の分と一緒に自分の分も購入してしまったわけですが、長男には0.7mmのものを勧め、自分は0.5mmの極細タイプにしました。ボールペンで8色ものかラーが揃っているとは思わず、いずれもゲルインクならではの鮮やかな発色なので目移りして迷ってしまいましたが、でもブルーのボールペンが好きなので結局オーソドックスにこれも色はブルーに、長男はライトブルーです。
それにしても以前はこういう新製品にはすぐ飛びつく質だった私も、最近はあまり文房具店に足を運ぶこともなくなってしまったのですっかり疎くなってしまったものです。子供が私の母に自慢げにこれを買ったと報告すると、「あら私も持ってるわよ」と何気なく見せられてしまったときには私もガックリ来てしまいました。まあ別に自慢するほどのものではないのでいいのですが…
ちなみにこの「フリクション」シリーズにはボールペンタイプの他にラインマーカータイプもあって、どちらかというとこちらの方が消えたときのインパクトはあるような気がしました。蛍光ペンの色が消えるというのはチェックペンくらいしか経験がありませんでしたから…