新sいったい誰に見てもらうつもりで作っているのでしょうか

先週から、朝日日経読売の各新聞社が共同で「あらたにす」なるウェブサイトを立ち上げました。当然これらの新聞で誇らし気に紹介されているのでご存じの方も多いとは思いますが、実際にアクセスしてみた人、毎日のように利用しているという人はどの程度いるのでしょうか。

各紙の紙面を横に並べて比べてみることができるとうのが触れ込みですが、ウェブページではまさに3紙の記事の概要が横に並べて表示されます。ここで左端に朝日、中央に日経、その右側に読売という並び順になっているのが意図的なものなのかどうかはわかりませんが、どうせならさらにその右側に毎日産経と並べてほしいところです。実際にはそこに広告スペースが設けられていて結構邪魔なのですが、それが目的なのですから仕方ありませんね。

記事本文を読むためにはその概要からリンクを辿ることになるのですが、そこから先は各紙のウェブサイトへと飛ばされることになります。それ自体は特に問題はないのですが、この時にリダイレクトするだけのためにJavaScriptが使われているというのが個人的にはちょっと気になります。今時 JavaScriptを無効にしているとか、サポートしていないブラウザを使っているというような人のことは端から相手にしていないのだとは思いますが、他にもリダイレクトする方法はいくつかあるはずなのにリダイレクトさせるためだけのコードをロードさせるというのは無駄なトランザクションが発生しますし、私のようにw3mというテキストブラウザなどで利用しようと思った人には全く不便です。 まあ、w3mの場合にはURLらしき文字列をリンクにするという機能があるので、一旦ソースを表示させてからリンク化すれば辿っていけるのでちょこっと手間がかかるという程度のことなのですが。

またこのネーミングは一体どういうことなのでしょうか。一応「あらたにすとは」というところでは

「あらたにす」は、「新しくする」の古語です。「新s」というロゴには「新(new)+s=NEWS」の意味があり、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞の3紙の叡智を結集し、新しいことを次々生み出していきたいという願いが込められています。

とされていますが、それならとんでもなく覚えにくいこのドメイン名、すなわちURLはどういうつもりなのでしょう。実は”All at ANY’s”を繋げたものらしく、”ANY”というのはAsahi, Nikkei, Yomiuriの頭文字だそうです。ということはここに他の新聞社が入り込む余地はないということになりますね。

なんだか関係者だけで勝手に盛り上がって作ってしまったような感じのこのサイトですが、既に存在するGoogle Newsよりも優れている点は何があるのでしょうか。社説や書評も並べられているというのは確かにGoogle Newsには無いところですが、この3社の社説だけでは仕方ありませんし、書評ならもっと沢山揃っているところがいくらでもあるでしょう。だいたい本文はリンクを辿らなければ読めないというのであれば単なるリンク集でしかありません。またニュースについても同じ事件に対する記事が並んでいるわけではないので、ある事件を色々な角度から捉えるということについてはGoogle Newsの方が上ではないかと思います。Google Newsがベストだとは思いませんが、これでは今更感は拭えません。

こんな何日も前に登場したものについて各時点で私の方も今更なのですが…この「あらたにす」も金を掛けて作っているはずなのでどこかいいところがあるのではないかと考えてみたのですが、結局サッパリわかりませんでした。