Albert Einstein本当はこういうことを学校で教えて欲しい…

アポロ計画のような華やかさはなくなったかもしれませんが、スペースシャトルが毎年何度も打ち上げられ、日本人の宇宙飛行士が何人も活躍するようになり、国際宇宙ステーション(ISS)というかつてはSFの世界の話でしかなかったようなものまで造られて、宇宙もずいぶん身近なものになったように感じます。

しかし、現代の天文学というものが一体何を研究する学問なのか、数々の探査衛星などを打ち上げて何を調べようとしているのかということについては、一般の人にはほとんど知られていないのではないでしょうか。私も今回この「面白いほどよくわかる 宇宙の不思議」という極めて入門的な本を読むまでは、宇宙についてここまでのことがわかっていて、わかっていないのは何なのかということを知りませんでした。

私も大好きなスタートレックなどのSF作品の影響もあって、「宇宙」というと探検や冒険のイメージばかりが浮かんでしまいますが、実際の天文学というのは相対性理論素粒子物理学を応用した学問の中の学問ともいうべき世界なのでした。巨大な加速器などを使用したニュートリノなどの素粒子の研究が宇宙の謎を解明するためのものでもあったとは、考えてみれば当然のようでも思いもよらないことでした。

こういうことを知ったからといって実生活では何の役にも立たないのではないか、ということについては確かに直接的に役立つことはないでしょうが、大まかにでも知っているかどうかで生活の上でのゆとりのようなものが違ってくるのではないかと思います。宇宙が一体どのように生まれたのか、我々の太陽は、地球はどのようにできたのか、どうしてそんなことがわかるのかというような不思議なことばかりですが、その理屈を大雑把にでもわかりやすく解説してくれているのがこの本です。ある程度の理系知識がないと辛いかもしれませんが、私はとても楽しんで読むことができました。

この本は「学校で教えない教科書」というシリーズのものになるのですが、本当はこういうことこそ学校で教えて欲しいところで、今学校で教えられている内容というのは基礎に留まってしまっていて、それが一体どのように応用されるのかがさっぱりわからないというのが問題ではないでしょうか。単に原理を覚えるだけでなく、それが何の役に立つのかがわかれば学習意欲も増すのではないかと思います。私は最近になって色々なところで歴史の面白さを知るようになり、もっとしっかり勉強していれば良かったと今になって後悔していますが、物理や数学についても同じようなことです。

それはともかく、この本を読んでいると人間一人の存在のなんとちっぽけなことか、宇宙のスケールで考えると日常生活が無意味なものに思えてくるほどで、訳がわからなくなってしまいますが、とても勉強になりました。ちなみに、宇宙の果ては137億光年の彼方にあるということは聞いたことがありましたが、その「果て」というのが宇宙の端でありその先は宇宙ではない、ということではなく、137億光年のところで宇宙が広がる相対速度が高速に達してしまい観測できない、という意味だということを初めて知り、それが一番印象に残っています。なんだ今頃そんなことを知ったのか、と笑う人もいるかもしれませんが…