我々はグーグルだ。抵抗は無意味だ。
先週から急に寒くなったせいかうっかり風邪を引いてしまった私は、会社で座っていてもボーッとして全く仕事が手につかないので5時のチャイムを聞いてすぐに帰ってきてしまったわけですが、こういうときは何をしても楽しくなく、何を食べてもおいしくないのでもはや寝るしかないでしょうか。普段は5,6時間で勝手に目が覚めてしまう私も、体調の良くないときはいくらでも眠れるものなので、変に粘らず寝てしまうことにしようと思います。ただ、今のところ食欲は衰えてはいないので、これから夕食を摂ってからということになります。
さて、そんなこととは全く無関係なのですが、またまたGoogle本を見つけたので読んでみました。今度は松下電器産業のエンジニアからアップルコンピュータのマーケッター、日本ゲートウェイ、メディアリングTCの代表取締役と渡り歩いてコンサルタントとなったという竹内一正氏の「グーグルが日本を破壊する」というPHP新書の本です。
「日本を破壊する」とは何やら非常に刺激的なタイトルが付けられたものですが、最近Street Viewの提供開始をきっかけに盛り上がりつつあるGoogle批判勢力の片棒を担ぐようなGoogleに対してネガティブな内容ではなく、Googleの新しい戦略に対抗できない日本の旧来の搾取システムが破壊され、新しい経済構造が構築されるという、創造的破壊について述べられているものです。
破壊の対象とされているのはテレビや新聞といった従来のマスメディアと、それに寄り添う形の広告業界、そしてPCとインストールタイプのソフトウェアなどが槍玉に挙げられています。マスメディアや広告については若者がテレビを見なくなったと言われて久しく、かなり現実味を帯びてきているのではないかと思います。また、SaaS(Software as a Service)というキーワードを最近よく耳にするようになりましたが、PCとソフトウェアの没落というのはこの波に乗りきれなければ実際に起こりうるのかもしれません。
私も新聞には一応毎朝目を通していますが、面白い記事はほとんどなく、既にインターネットから情報を得ているようなものばかりなので、すぐにでもやめられる状態です。ただ妻にとってはまだ活字の方がいいということなのと、折り込みチラシは欲しいということで取り続けていますが、それも時間の問題なのではないかと本書を読んでいて感じました。News Paper CompanyからNews Companyへの転換というのは確かに今すぐにでも必要だと思います。
ただし、本書はタイトルには「グーグルが」と明記されているのですが、内容的には特にGoogle一社に限ったことではなく、インターネットのWeb 2.0(死語)全体について同じようなことが言え、Googleはその先頭に立っているということなのではないかと思います。どちらかというと、立ち後れた日本の旧態依然とした産業構造に警鐘を鳴らしている、というように読み取りました。
著者が松下出身ということもあって、松下を引き合いに出す場面も多いのがちょっと気にはなりましたが、専門用語で煙幕を張らずに平易に、的確に問題点を指摘していてとても読みやすくて良い本なのではないでしょうか。Dog Yearの業界について述べたものなので陳腐化するのも早いかと思いますが、一般のビジネスマンが今とこれからを知るには良いかもしれません。まあ、私にとっては特に目新しいことはなかったのですが、少なくとも頭の中の整理には役立ちました。