確かに若者には受けそう。
野党と一体になったマスメディアの執拗な攻撃に晒され、私には無理やり支持率が落ちたことにされていたようにしか見えなかった麻生政権ですが、民主党のオウンゴールで何とか凌ぐことができたようです。これほどまでにマスコミに嫌われてしまったのは政権初期の首相本人の記者らへの対応が反感を買ったためなのでしょうか。そうだとするとあまりに幼稚すぎるので、いくらなんでもそんな単純な話ではないのでしょう。
テレビや新聞を情報源として頼りにしている一般の国民にとっては「何もしてくれない頼りにならない首相」というような印象になってしまっているのかもしれませんが、漫画が好きであったり、総裁選の演説を秋葉原で行って「自称オタクの皆さん!」と呼びかけたなどということからか、インターネットユーザーからは高い支持を維持しているようです。その一端ということなのか、このところAmazonの本のベストセラーの首位に麻生太郎著「とてつもない日本」が輝いていました。現在は2位に落ちているようですが、私もちょっとブームに乗ってみようというわけで、しかし買うほどでもないと思い図書館で借りてきて読んでみました。
短くまとめると「日本人が思っているよりも日本という国は世界に高く評価されているから、自信を持って世界に貢献しよう。」という内容になります。麻生氏の外務大臣時代に書かれている本であるためか、外交を中心に日本の取るべき道を指し示そうとしているようですが、これまでのところ内政よりも外交に重きを置いているようにも見える総理大臣としての麻生氏はまさしくこの本に書かれていることを実践しようとしているようです。
確かに、日本人の多くはあまり世界を知らないのか、卑屈に過ぎるというか謙虚すぎるような気がします。世界の国々にとって、日本という国の存在感はもはや無視できるものではなく、特にアジアにおいては盟主的存在であることは間違いないでしょう。ただ、最も身近な隣人であるはずの韓国と中国では対日感情が芳しくないため、その他の国々でも日本が良く思われていないかのように感じてしまっているということもあるのかもしれません。本書でも触れられていますが、BBCの「世界に良い影響を与えている国」の調査で多くの国々で日本が「良い影響を与えている」と評価されているのに、韓国と中国では極端に悪い評価となってしまっているのは何とかしなければならないことなのだと思います。
また、「本当は日本は凄いんだ」と言われるととても聞き心地がいいのですが、それで自信過剰になって傍若無人に振る舞うようでは元も子もありません。謙虚さを美徳とする日本人の精神を大切にして、自信は内に秘めつつ国際貢献に努めるというのが良いのでしょう。一時は「金は出すが人は出さない」などともどこからか批判されていましたが、自衛隊の海外活動も増えていますし、最近では民間人も積極的に出て行っているようですから、それももはや過去の話となっているかもしれません。
ということで全体的にはもっともなことを言っているようにしか思えないのですが、ちょっと気になってしまったのは度々「祖父吉田茂」が登場することです。どうも血脈を自慢されているような気がしてあまりいい気分ではありません。本人はやはり誇りに思っているのでしょうが、それをあまり前面には出さない方がいいのではないかと…家柄を重視して投票する人もいるのかもしれませんが、そうでない人もいるということは理解していただかないと、また「庶民との感覚のズレ」などと叩くスキを与えてしまうのではないかと…