鈴木宗男これが全て真実であるなら…

インターネットが普及し、誰でも簡単に情報を発信できるようになった今、マスメディアの価値・影響力は以前ほどではなくなったと思いますが、そうはいってもまだまだ一般の人にとってはテレビや新聞の方が馴染みがあったりするでしょうから、世論を形成する力は若干衰えたとはいえ未だ健在です。昨今の新型インフルエンザの騒動にしても、伝染性も病原性も季節性インフルエンザ並みであるにも関わらず、不安を煽ってマスクを品切れにさせたり感染者の出た学校を必要以上に晒したり、害悪はマスコミが目の敵にする2ちゃんねると何ら変わりません。まあそれも当然で、どちらも同じ日本人が作っているものなのですから。

それはさておき、仕向けられた世論により逮捕・失脚に追い込まれ、その後有罪判決を受けつつも国政に復帰している鈴木宗男氏については今でも「悪人のくせに選挙に当選するなんてどうなっているんだ」と思っている人もいるのではないでしょうか。第2審でも有罪判決を受けたとはいえ現在も最高裁に上告して係争中であり、本当に罪を犯しているのだとしたらあまりに厚顔無恥というか、さすがに地元も騙しきれないのではないかと思います。また同じ鈴木姓の私としては何となく信じたい気持ちもありました。

まあそんなことはさほど興味があったわけでもなく何となく思っているだけだったのですが、何がきっかけだったかは忘れてしまったもののこの鈴木宗男氏の「汚名 – 国家に人生を奪われた男の告白」という本が話題になっているということを知ったので、ちょっと読んでみることにしました。

汚名 国家に人生を奪われた男の告白
著:鈴木 宗男
講談社 (2009/03/27)
ISBN/ASIN:4062151065

本書では400日以上にも及ぶ拘置所での辛い日々を中心に、逮捕・拘留に至る経緯、日本の国益のみを考えて外交に関わっていたこと、外務省との関係、そして保釈後の選挙などについて綴られたものとなっています。この本での主張によれば、ある大物政治家と外務省の官僚にはめられた冤罪であり、逮捕自由は全くの事実無根の国策捜査であるということになっています。

本書の内容がどこまで真実であるのかはわからず、全てが真実であるとするとかなり問題のあることであり、社会的にも衝撃的なことであるのですが、さらに凄いのはその「大物政治家」や外務官僚が実名で特定されていることです。それがデタラメであろうが事実であろうが名誉毀損などで問題になることは明らかですが、それでもあえて書いているということは真実なのだろうと思ってしまいます。それもそういう手なのかもしれず、100%信じることはできないのですが…

検察の捜査の横暴ぶりも検察官を実名で登場させて暴いているわけですが、本当に日本の検察当局というのはこんな「権力の犬」なのでしょうか。まさに何でもアリのようですが、私の「常識」では理解のできない世界が、見えないところには広がっているようです。

まあ一方的な主張だけを聞いて真実を知ることはできないわけで、逆の立場からの見解も聞いてみたいところではあるのですが、今のところ必死なのは罪を問われている方でしょうから、そちらにしてみればバカバカしいというようなことしか言えないのでしょうね。無罪判決でも出ないことには変に蒸し返すようなことをいうはずもありませんが、今の状況は圧倒的に鈴木氏側に不利です。仮に有罪が確定すれば国会議員の職を追われることになるようですが、いったいどうなるのか、興味を持ってその裁判の行方を見守りたいと思います。