Staedtler日本の技術とドイツの精神の融合

私の子供の頃は文房具といえば主に自宅の近所の文房具店で購入するもので、時々ちょっといいものが必要な時にデパートの文具売場や伊東屋などの専門店で購入したものですが、大型スーパーなどに追いやられて個人商店がどんどん減ってしまっている近年は皆どうしているのでしょうか。やはりスーパー内の文具コーナーを利用することが多いのでしょうか。

私の地元にはもともとスーパーマーケットだったところを改装してできた大きな文具店があり、専門店らしく充実した品揃えなので私もたまに覗いていたのですが、自宅から6kmほど離れているので何かのついででないと行くこともありませんでした。しかしこの週末、自宅のすぐ近くにその支店ができ、開店記念でポイントカード会員になるとドーナツ型のメンディングテープを貰えるということでなかなかの賑わいになっていました。普通の人は文具店ができたからといってわざわざ行ってみようと思うものではないでしょうからこういったプレゼントも必要なのでしょうが、文房具に目がない私の場合はそんなプレゼントなどなくても行かないはずがありません。ということで、血を継いだのか同じく文房具好きな長男と二人で、早速行ってみました。

店内に入るなりペンのコーナーに向かい、「たのしー!」と小さく叫んでしまう長男もどうかと思いますが、さほど大きくもない売り場なのに期待以上に品揃えが良く、これまでわざわざLoftに行って買っていたペンも置いてあり、これからは歩いて買いに行けるというのが私は嬉しいです。といってもそれほど変わったものがあるというわけではないのですが、目に付くところにRhodiaのメモブロックがあったのがちょっと違うくらいでしょうか。

さて、長男が「新しいシャーペンが欲しい」というので私も一緒にシャープペンシルのコーナーを見ていたのですが、そのコーナーの端の方に私も見逃せないものを発見してしまいました。シャープペンシルはクルトガで満足しているので、普通のシャープペンシルならそんなに惹かれることもないでしょうし、サッと諦めることもできるはずなのですが、これはちょっと無理…ということで結局購入してしまいました。

シルバーシリーズ 2mm芯シャープペンシル 925 25-20
メーカー:ステッドラー
ステッドラー (-)
ISBN/ASIN:B0014R5VAW

その私を放してくれなかったそれというのはドイツの老舗Staedtler925 25-20という製品ですが、この925 25というシリーズはステッドラー日本が生産している製品らしく、その中の2.0mmという太さの芯を使用するのが925 25-20というものになります。数字だけの名前という素っ気なさは、いかにも質実剛健なドイツの会社らしいところです。

2.0mmの芯は通常「芯ホルダー」というもので使用しますが、芯ホルダーは芯をチャックでがっちりと固定するため芯の先がぶれにくく、主に製図用途で使われています。しかし、通常の芯ホルダーはノブを押すとチャックが開いて芯が自由になってしまうため、下向きにした状態でノブを押すと芯が完全に抜けて下に出てしまいます。これが普段筆記具として使うには煩わしいところだったのですが、この925 25-20は「シャープペンシル」と名乗っているだけあって他の芯ホルダーとは違い、一般的なシャープペンシルと同様の繰り出し機構を備えているので普段使いも全く問題ありません。ただ、2.0mmという太さは芯削りが不可欠ですが、そのおかげで好みの太さで使うことができるでしょう。本当はこの太さで「クルトガ」だったら5000円でも買ってしまうところなのですが…まあそれはあり得ませんね。

このペンは税別1200円という価格になるのでシャープペンシルとしては高価な部類に入るかと思いますが、価格に見合った質感があり、所有欲を満たしてくれる逸品と言えるのではないでしょうか。ポリッシュ加工のペン先部分と梨地のボディのコントラストもいいのですが、極めつけはグリップ部分のローレット加工の緻密さです。この美しさは日本の技術の高さをさりげなく示しているのではないでしょうか。ついうっかり買ってしまった私も持っているだけで満足です。