事実は小説より奇なり?
私の友人知人には国際結婚している人が少なからずいます。互いに知り合いではない人まで入れると、補習校に行けばハーフの子は全く珍しくありませんし、そもそも移民社会のアメリカでは敢えて区別するのも無意味なほど当たり前のことです。しかし、やはり日本ではあまり一般的なものではなく、法制度や社会の受け入れ態勢も万端とは言えず、様々な苦労があるのではないでしょうか。
ただでさえ結婚というのは出会うまでそれぞれ全く別の育ち方、暮らし方をしてきた二人が、ある時から家族として一緒に暮らし始めるものですから様々な驚きや衝突があるものです。私は主に東京近辺で過ごし、妻は兵庫県で育ってきましたので、言葉や文化の違いが面白かったり難しかったりするものですが、さらに国まで違ったとしたら困難も私達の比ではないでしょう。
しかしそんな一般的でない経験こそ格好の素材、ということで4コマ漫画化してブログとして公開したところ大人気となったのが井上純弌氏の「中国嫁日記」です。井上氏は本職の漫画家なので漫画としてのクオリティは語るまでもありませんが、やはり素材が素晴らしいので非常に面白く、私も愛読しています。そしてその後ブログに掲載されていた漫画に加筆したものが単行本化され、つい先日その第3巻が発売されたのを機に、1巻から買い揃えてみました。
著者の井上氏は1970年生まれということで私と同学年か1つ上であり、非常に親近感が湧いてしまうのですが、一方奥様の月(ゆえ)さんは中国瀋陽出身20代半ばの美人とのことです。その月さんのしゃべる日本語や、中国と日本の文化の違いから起こる出来事が面白いからということで日常生活の様々なエピソードを4コマ漫画として連載されているのが、ブログ「中国嫁日記」です。これに対して単行本では数多くの手を加えた上で、さらに描き下ろしの長編漫画で40代のオタク男性と中国の美女が国際結婚に至った経緯が追加されています。
実際に井上氏の身近に起こって面白いと感じた出来事を元に漫画化しているので、読んでいてもまったく無理がなく自然に面白いと感じられます。また井上氏にとっては身近であっても、私自身は中国の女性と関わることもほとんどありませんので、全てが非常に新鮮です。ただ、未だ新婚生活を送られているようなのでノロケ要素が多く、羨ましいというか妬ましいというか、若干複雑な気分にもなりますが、月さんのことは本当に大事に考えられているようなので、微笑ましく見守りたいという感じです。
我が家では家族皆この作品のファンで、特に次男は何度も何度も繰り返し読んでいます。いったい何がそんなに彼を惹きつけるのか、ひょっとしたら単に漫画ならなんでもいいのかもしれません。ですが、この作品からは何かが学べるような気もするのでとりあえず良しとしています。