Hole in the Rockどうしてわざわざこんなところに…

グランドサークルを巡る旅の3日目の目的地は、世界文化遺産にも登録されているメサ・ヴェルデ国立公園というところですが、宿泊していたアーチーズ国立公園近くのモアブという町からここへ向かう途中、私の目に止まったのは岩壁に書かれた”HOLE N’ THE ROCK”の文字…最近観た「トランスフォーマー/ロスト・エイジ」に出てきたアレではないか、ということでちょっと急なブレーキを踏んでUターンし、パシャパシャと写真を撮ってまたすぐに出発しました。どうやら私の勘は正しかったようで、実際にこの場所でロケが行われたのは間違いないようです。
Mesa Verde - Square Tower House
さて、メサ・ヴェルデには何があるかというと、12世紀から14世紀の間にアナサジ族なるインディアン部族が作ったという岩窟住宅が崖の途中に点在しており、その近くまで車で回れるよう道路が整備されています。それらの住宅跡のいくつかはその内部まで見学できるようになっているのですが、レンジャーによるガイド付きのツアーに申し込まなければいけないということなので、まずは公園入口にあるビジターセンターへと向かいました。ところが残念なことに、すでに4時間ほど後のツアーでないと空きがないということで、それではその後の予定に響いてしまうため泣く泣く諦め、崖の反対側の展望台から眺められるものだけ見に行くことにしたのでした。ウェブなどでの予約もできず現地申込のみの受付となっているので、どうやら希望の時間帯のツアーに参加するためには前泊して朝一番に申し込まなければならないようです。
Mesa Verde - Cliff Palace
公園の入口はちょうど山の麓に位置していて、そこから岩窟住宅のあるところまではだいぶ標高差がありました。坂道をぐんぐん登って行くと徐々に涼しくなっていき、周囲の植物の様子もだいぶ変わっていきました。そして登り切ったあたりで崖が見えるようになってきて、その崖の途中に住宅跡があるというわけです。

まず最初に見たのはSquare Tower Houseという名前が付けられた遺跡で、その名の通り正方形の断面を持つ塔が付いた住宅です。ここは修復工事が行われているところのようで、内部には足場が組まれたりしていました。もう一つ見たのはCliff Palaceという大型のもので、その名前からすると族長の家だったとされているのでしょうか。Square Tower Houseの方は基本的に直線のみで構成されているようですが、Cliff Palaceの方では曲線が用いられた優雅なデザインとなっており、作られた時代が異なっているのかもしれません。

これらの住宅は敵の襲撃に対処するためにわざわざこんな場所に作ったとされていますが、こんなに出入りの不便なところに作らなければならないほど追い詰められていたのでしょうか。他に地上に竪穴式住居の遺跡もあって見学できるようになっていますが、もともとそこに住んでいた人たちのうち、身分の高い人たちのみが匿われるようにしていたのかもしれません。
Four Corners
なぜか次男はこのメサ・ヴェルデに関心を示しましたが、これらをざっと見学したところでここは引き上げ、次の目的地であるフォーコーナーズへと移動することにしました。フォーコーナーズというのはユタコロラドアリゾナニューメキシコの4州が1点で接する地点で、ここにモニュメントが設置されていて記念撮影ができるようになっているのです。なお、直線的な州境の多いアメリカでも、4州が一点で接しているのはここだけです。またここはナバホ族インディアンの居留地(Navajo Nation)の中となっているため、このモニュメントを管理しているのもナバホ族です。

入口で一人$5の入場料を払って駐車場に車を停めてモニュメントに向かうと、そこには記念写真を取るための列ができていました。ここにはあまり外国人の姿はないようでしたが、全米各地から訪れているようでした。私達も列の後ろについて待ちましたが、皆思い思いのポーズを作って、列の次の人に撮ってもらったりしていて、それを誰も文句も言わずにのんびりと待っていました。お互い様なので私達ものんびりやっても良かったのですが、どうしても後の人のことが気になってしまい慌て気味になってしまったのはやっぱり日本人だからなのでしょうか。
10oz Ribeye @ Twin Rocks Cafe
この日の宿はブラフという小さな町のKokopelli Innというモーテルに泊まったのですが、夕食は受付で教えてもらったTwin Rocks Cafeというレストランに行き、ここまで食べていなかった肉を食べたくなったので、リブアイステーキを注文してみました。実はレストランが2軒しかないほど小さな町だったのですが、このステーキや家族が食べた他のものもなかなか美味しく、またナバホ族の伝統的な料理もあって思いがけず良い店です。この小さな町でも生き残っているのには訳があるということでしょうか。なお店名の由来はそのすぐそばにある双子の大きな岩のようですが、これも何気なくある割には特徴的なもので、ちょうど店を出る頃には夕焼けに映えていました。 (続く)