Transformers: Age of ExtinctionDinobotsの知能は爬虫類並み?

どうして原題とは異なる邦題をわざわざ付けるのか相変わらず分かりませんが、「トランスフォーマー/ロスト・エイジ」と名付けられた映画版トランスフォーマーシリーズの最新作を観に行ってきました。この作品はこれまですべて次男と観ているので今回も観たいと言われていましたが、今まだ日本にいる次男が帰ってくるのを待っているとIMAX 3Dでの上映が終わってしまうので、もう一度行くからと言って先に一人で観て来たのでした。

私自身もシリーズ最初の「トランスフォーマー」を観て変形(トランスフォーム)シーンのカッコ良さに魅せられて以来、欠かさず当然のように観ているのですが、残念ながら第一作以降は回を追うごとに風呂敷を広げすぎているような感じになっていました。また、今作は映画批評サイトRotten TomatoesTomatometerが17%と酷いことになっており、この数字は観るのを躊躇するレベルだったのですが、実際観てみるとそこまで酷いものではありませんでした。
Transformers: Age of Extinction
これまでの三作ではヒロインが交代したほかは主要キャストはほぼ一貫していましたが、今回はそれが一新されています。元々三部作の予定だったために契約が完了したということなのでしょうが、新三部作への仕切り直しとも言えるのかもしれません。主演はちょっと年齢を上げてMark Wahlbergがシングルファーザーの発明家役で、ヒロインはその娘役でNicola Peltzとなっています。Markは主演アクション映画も多々あり出てきた途端に彼が主役なのだとわかりますが、Nicolaの方はいかにも監督のMichael Bayが好きそうなヒロインですね。

また、今回はトランスフォーマー達も大きく変わっています。中心的なOptimus PrimeBumblebeeは健在ですが、ベースとなっている車両もロボット形態の姿も大きく変わっています。OptimusはこれまでPeterbilt 379というモデルがベースでしたが、今回は最初にMarmon 97というキャブオーバータイプで登場し、その後Western Star 4900というボンネットタイプにスキャンし直します。この手の大型トラクターは日本ではまず見ることがありませんが、アメリカでは高速道路などで頻繁にお目にかかり馴染み深いものです。ちなみに、Western StarというのはFreightlinerと共にドイツのDaimler傘下にある、北米のトラックメーカーです。一方Bumblebeeの方は車両形態ではChevrolet Camaroであることに変わりはないのですが、最初は1967年式Camaro SS改造車、その後2014年のCamaro Conceptへと変わります。またロボット形態の時はだいぶ引き締まった形となり、身軽な印象になりました。
Transformers: Optimus Prime on Grimlock
この他のトランスフォーマー達も人間のキャストと同様ほぼ一新されました。AutobotsにはHoundCrosshairsDriftが加わりましたが、このBugatti Veyronに変形するDriftの声はまた渡辺謙が演じています。またこの他は恐竜に変形するDinobotsや人間に作られたDecepticons、どちらにも属さない賞金稼ぎのLockdownなど様々なトランスフォーマーが登場します。

といったところでお分かりかもしれませんが、全体的に話が散らかりすぎな印象です。165分もある映画なのにのんびりしたシーンがまったくないのはそれはそれで大したものだと思いますが、いくらなんでも詰め込み過ぎではないでしょうか。新三部作の最初の作品ということで導入部に時間がかかってしまうのはわかりますが、最初のシーンが何を意味していたのかはだいぶ時間が立ってからでないとわかりませんし、メインテーマが何だったのかは今でも確証が持てません。もう一つ残念なのはAutobotsのカッコいい変形シーンがあまり見られず、その代わりに人造トランスフォーマーの一旦粒子状になってから再構築される変形のシーンが多くなってしまっていることです。これでは全く魅力がないのがわからないのでしょうか。とはいえ、娯楽大作として気楽に見る分にはつまらないということはないかと思います。

なお、この作品の撮影の一部は私が今いるデトロイトで昨年夏に行われており、香港での戦闘シーンはデトロイトのダウンタウンで、高速道路でのカーチェイスと戦闘のシーンはGMのテストコースで撮影されたものです。当然それとわからないようにセットが作られて撮影されているのですが、私にはそれぞれはっきりと分かってしまいました。特にダウンタウンで撮影が行われている時に(それを知っていて)出張者を連れて行ってPeople Moverからセットを見ているのですが、さすが大作映画だけあって相当大掛かりなものでした。ちなみに香港のシーンで走っている新交通システムがそのPeople Moverです。また、テストコースでの撮影はちょうど一年前の今、独立記念日の祝日でGMが一斉休暇に入っている間にひっそりと行われたので、そこで働いている人たちも気付かなかったようです。