Dawn of the Planet of the Apes: Caesar狩るか狩られるか。

連続テレビドラマと同じで、映画もシリーズ作品を見始めてしまうと途中でやめられないというのもありますが、最近は続編だからといって単なる焼き直しでは終わらない上質な作品が増えてきているのではないでしょうか。今回観た「猿の惑星:新世紀」もRottentomatoesTomatometer (批評家による高評価の割合)が91%とかなり高い評価となっていて、私も観ずにはいられなかったのでした。

しかしまた邦題に対する文句になってしまいますが、今回の「新世紀」というのは悪くないのですが、それを「ライジング」と読ませるというのはどうなのでしょうか。前回の「創世記」は「ジェネシス」と読ませていてそれはそのままなので問題ありませんでしたが、こちらの原題は”Rise of the Planet of the Apes”でしたから、「ライジング」というならまだこちらの方がマシというものです。”The Dark Knight Rises“もなぜか「ライジング」でしたが、好きなんですねえ。

それはさておき、本作品は前作の10年後、人類の大半は滅び、進化した猿たちはサンフランシスコ北部の山中にコロニーを築き平和に生活しているというところから始まります。そこへ、生き延びていた人間たちがそれと知らずにやってきて接触し、種族間の大きな争いへと発展していく、というその始まりの部分が描かれています。
Dawn of the Planet of the Apes: Motion Capture
このシリーズの主役は猿なのだろうと思います。その中でも中心的に描かれているのが群れのリーダーであるCaesar、前作で最初に高い知能を得たチンパンジーですが、これは今回もモーションキャプチャーによりAndy Serkisが演じています。モーションキャプチャーにかけてはAndyの右に出るものはいないのでしょうが、今回私はCaesarの姿を観ていてAndyの姿がちらついてしまって仕方がありませんでした。むやみに撮影の裏側を知ってしまうのも困ったものですね。他の猿たちもそれぞれモーションアクターが演じていますが、それらの人たちは知らないのでそのようなことはなく、自然な猿の動きに見えました。

一方、人間側ではMalcolmが中心的な役割を果たしていますが、それを演じているのはJason Clarkeです。敢えてかどうか、誰でも知っているような大スターを据えてこなかったために猿と人間をバランスよく描写することができているのではないでしょうか。

この作品が高い評価を受けているのは、特殊効果とそれにより生み出される映像だけでなく、人間同士、猿同士、そして人間と猿との間にあるドラマの素晴らしさにあるのでしょう。旧シリーズでは設定の奇抜さばかりが目立ってしまって上手く描けていなかったように思いますが、猿が高い知能を得たというのであれば人間と同じように考え、悩み、葛藤するというのは当然の成り行きであり、そこに焦点を当てるというのも自然なことです。

やはり評判通り大変見応えのある作品だったので、そうであれば三作目の製作という話になるのも自然な流れですが、やはりすでに2016年7月29日の公開に向けて動き始めているということです。まだ2年先の話ですが、当然これも見逃すことはできないでしょうね。