Road to Monument Valley私にとって今回最大のハイライト。

かつて無く盛り沢山な今回のグランドサークルの旅もいよいよ中盤となりましたが、4日目は私が以前からアメリカで一番行きたいと思っていたモニュメントバレーです。泊まっていたモーテルの狭い部屋でのんびりしていてもしかたがないので、起きて早々にチェックアウトを済ませ、隣のガソリンスタンドで質素な朝食を摂ってそそくさと出発しました。

ただその道すがら、ちょっとした寄り道はありました。まず寄ったのはGoosenecks State Parkというユタの州立公園ですが、ここは曲がりくねった川に侵食された土地がまるで鴨の首のような形で残っていることからそのような名がついています。展望台は川面から数十メートルの高さにあるので高所恐怖症の人には厳しそうですが、あまり観光客の来ないひっそりしたところの割にかなり迫力のあるものだと思います。
Goosenecks
もうひとつ立ち寄ったのはMexican Hatというもので、それがその町の名にもなっているので検索しづらいのですが、メキシコの帽子ソンブレロをひっくり返しておいたような形の岩が丘の上に乗っかっているものです。舗装道路を外れて砂道をちょっと走ると少しそばに寄ることができますが、これもまたどうしてそんな形に残ったのかが不思議なものです。ちょっと強い風が吹いたら落ちてしまいそうなものですが、そんな風はないのでしょうか。

その後モニュメントバレーに近づいてくるとだいぶ遠くからもそれらしき景色が眺められるようになってくるので、私は徐々に興奮してきてちょこちょこ車を停めては写真を撮っていました。途中にはよく写真で見られる、真っ直ぐな道路の先にモニュメントバレーが見える有名なポイント(1枚目の写真)もあり、ここでは赤い砂、緑の草、青い空の三色が非常にきれいでした。
Monument Valley - Buttes
そうして進んでいよいよナバホ族が管理するモニュメントバレー・ナバホ族公園へと入場料を払って入ると、駐車場ではもう目の前に有名な3つのビュートが立つ、雄大な平原を見ることができます。ビジターセンターが小高い丘の上にあることもあり、ひょっとするとこの駐車場からの風景が最も素晴らしいものかもしれません。
Sheep Camp Mutton Stew @ The View Restaurant
到着後まず、朝食が簡素でもあったので、ちょっと早めの昼食とすることにしました。公園内のレストランはビジターセンターに隣接しているThe View Hotelレストラン1軒しかありませんので、ここで食べることになります。メニューにはアメリカで一般的なバーガー類などの他、伝統的なナバホ料理が並んでいましたので、私はSheep Camp Mutton Stewという羊肉の煮込みを試してみましたが、非常にあっさりした味付けながら肉は柔らかく煮こまれていて、羊肉の好きな人なら美味しくいただけるのではないかと思います。このレストランもナバホ族により運営されており、従業員もほぼ全員ナバホの人たちのようでしたが、接客ぶりはなんだかはにかみ気味で、見た目のみならず日本人に近い感じがありました。

この日の宿泊もこのThe View Hotelだったのですが、公園内唯一のホテルであるということと、どの部屋からもモニュメントバレーのビュートが一望できるということから大変な人気があり、3ヶ月以上前に満室になってしまうということで、当初は私も予約が間に合わずちょっと離れたところに予約していました。しかしその後もちょくちょくウェブサイトをチェックし続けていたところ、ある日奇跡的に空室を当てることができてめでたく宿泊できたというわけです。諦めないことが大事、ということでしょうか。
Monument Valley
ホテルのチェックインは4時ということになっていましたが、先に部屋に荷物を置いてしまいたいということで、昼食を済ませた後でチェックインを試みることにしました。フロントで聞いてみると「本当はチェックインは4時からなんだけど念のため確認してあげる」などと勿体をつけながらもあっさりチェックインさせてもらえました。やっぱりアメリカではダメ元というのが重要です。

ということで荷物を置いた後、モニュメントバレーを一周する観光道路へと出発しました。この道路は完全な砂道で非常にデコボコしており、雨が降るとスタックの危険があるということですが、そうでなくても普通のセダンなどでは厳しそうです。私達のJeep Libertyではボンボン揺れながらも危なげなく走ることができましたが、Chevrolet Corvetteのコンバーチブルで走っている強者もいました。本来そういう車の人はバスツアーなどで来た人と同様にナバホの人がガイドしてくれるツアーで回るのが良いでしょう。
Navajo Tacos @ The View Restaurant
観光道路は公園内に点在するビュートやメサの間を縫って走り、映画監督John Fordが好んで映画に使用したというJohn Ford Pointなど、様々なポイントから絶景を眺めることができます。一周するには1時間半から2時間かかるということですが、ビュートも一つ一つそれぞれ個性や表情があり、私は全く飽きることがありませんでした。またこの間ずっと荒れた砂道なので、ちょっとしたアドベンチャー気分も味わえるのではないでしょうか。
Monyment Valley - Butte in Sunrise
その後はホテルへ戻りくつろいでから、夕食を再びホテルのレストランで摂ることにしました。メニューは昼と若干変わっていましたが、今度はNavajo Tacosというものを食べてみることにしました。これは一般的なタコスのトルティーヤの代わりにピザのように平たい油で揚げた生地を使い、その上にタコスの具が乗っているものでした。具はメキシコ料理に近いものですが、若干汁気があり手で持って食べることは難しいのではないでしょうか。あまりに大きく半分ちょっとだけ食べて後は朝食にするために部屋に持ち帰りましたが、これも味付けが濃くなく新鮮な具材の味が生かされているようで美味しかったです。

このホテルに泊まると得ることが出来る特典が、部屋のテラスからの日没と日の出の中のビュートの眺めです。この日の日没は8時半頃だったので、食事を済ませたあとで部屋に戻り、テラスにカメラの三脚を立てて日没を待ちました。夕日はホテルの背後に沈むのですが、日が傾くにつれて左のミトンと呼ばれるビュートの影が右のミトンに被さったり、また空の色が徐々に変化して行ったりといった光景が非常に幻想的でした。また翌朝の日の出は6時半頃でしたが、5時半頃から徐々に空が白み始めると真っ暗な中からビュートの影が浮かび上がってきて、そのうち左手から太陽が顔を出してくる、というこれまた素晴らしいものを見ることができました。これは寝ていた家族を起こして見せましたが、その価値は皆わかってくれたようです。

ということで念願かなってやってきたモニュメントバレーですが、その期待を上回る素晴らしさでした。やはり今回の旅行の中で一番良かったと私が思うのはここでしたが、旅はまだ半ばです。 (続く)