未来にまた一歩近づいたようです。
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最近は英単語の意味を調べるときなどに辞書を引く機会というのはだいぶ減っているのではないでしょうか。私自身はすっかりウェブに頼るようになってしまっていて、アルク英辞郎 on the WEBLEXICOのオックスフォード英英辞典、Thesaurus.comの類義語辞典を使うことが多くなっています。文章全体をGoogle翻訳に突っ込んでいるという人も多いのではないかと思いますが、Google翻訳もどんどん進化して良くなっているとはいえ、未だあまり自然な文章にはならず、時々おかしな結果になるというのが実情でしょう。

しかし、先日のbackspace.fmの「#335:DeepL翻訳がすごいので在米10年のドリキンは英語を学ぶのをやめるって」という回で話題になっていたDeepLというのが本当に凄いので、私も改めて紹介したいと思います。どんなに凄いかというのは実例を見れば一目瞭然だと思います。

たとえばDetroit Free PressMichigan workers are losing paychecks reminiscent of the Great Depressionという記事の以下のような文章を翻訳してみると、

The recently signed $2 trillion stimulus bill contained rescue measures for businesses and workers, but even that record-size bailout may not be enough to counter the economic effects of coronavirus. President Donald Trump has since talked about a possible $2 trillion more in infrastructure spending to keep people working.

Google翻訳では

最近署名された2兆ドルの刺激法案には、企業と労働者のための救済措置が含まれていましたが、そのレコードサイズの救済策でさえ、コロナウイルスの経済的影響に対抗するには十分ではない場合があります。 ドナルド・トランプ大統領はそれ以来、人々が働き続けるためにインフラストラクチャへの支出がさらに2兆ドル増える可能性があることについて話しました。

というような結果になりました。これでも意味を掴むには問題ないかもしれませんが、一部の単語が翻訳されずに「レコードサイズ」というようなカタカナ語になっていたり日本語としては不自然で、ネイティブな日本語話者が書くような文章にはなっていません。これをそのまま転記して人に読ませるのは明らかに問題のあるレベルです。

しかし一方DeepLの翻訳ツールでは

最近署名された2兆ドルの景気刺激法案には、企業や労働者のための救済措置が含まれていたが、その記録的な規模の救済措置でさえ、コロナウイルスの経済効果に対抗するのに十分ではないかもしれない。ドナルド・トランプ大統領は、それ以来、人々が働き続けるためのインフラ支出でさらに2兆ドルの可能性について話している。

というような恐ろしく自然で正確な文章になっています。若干読点が多いようにも思いますが、普通の日本人でももっとたくさん読点を打つ人はざらにいるでしょう。社内文書などであればこのままでもまったく問題なく使える、ストレスなく読める文章になっているのではないでしょうか。

実は私の場合、英語はあまり困らないのであまり使わないように思うのですが、これは凄いと実感したのはイタリア語から翻訳してみたときでした。イタリア人の友人がFacebookでシェアしていた記事の写真に興味を持ったものの、文章がイタリア語だったのでこれまでならスルーしてしまっていたのですが、DeepLを知ったあとだったので試しに翻訳させてみたところ、驚くほど自然でわかり易い文章になったのでした。

このDeepLが日本語に対応したことはつい先日、3月19日のブログで発表されていますが、日本語、英語、イタリア語のほかフランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、オランダ語、ポーランド語、ロシア語、中国語に対応しているとのことです。いわゆる先進国を中心に対応していっているということかと思いますが、これほどの性能のものがあらゆる言語に対応したとしたら、SFに出てくるような自動翻訳機ももう夢ではなくなってきますね。このペースなら私が生きているうちに実用化してしまうのではないでしょうか。