見た目と利便性を両立させるのがデザインなのでは。
🧃

先日、日課となっている夕方の散歩の帰りに自宅近くのスーパーの隣りにあるコンビニに寄って牛乳を購入しました。牛乳ならスーパーの方が安く買えるのになぜかと思われるかもしれませんが、2つある理由の一つはこのスーパーというのがオーガニックや産地にこだわった少々高級なスーパーで牛乳も安くはないことで、もう一つは散歩する時に財布を持っておらず、このスーパーはApple Payなど電子マネーに対応していないためです。

そしてこのコンビニというのがローソンなのですが、ここで以前から話題になっていた「ローソンのプライベートブランド(PB)商品のデザインが酷い」という問題に直面することになりました。それまでは話には聞いていたものの、あまりコンビニに行く機会がなかったので実感していなかったのですが、実際に自分が牛乳を買おうとしたとき、特に近視なのに散歩中で裸眼だったため、目を近づけてじっくり見ないとどれが普通の牛乳なのかがわからず苦労しました。一応天面が色分けされているので買い慣れていれば水色のもの、とすぐに見つかるようにはなっているようですが、初めての場合は小さく細い文字で書かれたものを順番に見ていかなければならず、ユーザーフレンドリーとは程遠いものです。

なぜかローソンのニュースリリースでは4月28日の「ローソン店舗に『nendo』デザインの新型コロナウイルス感染防止ポスターを掲出」という発表のサブタイトルに「PBパッケージ、ロゴも『nendo』がデザインを一新」と付けられる形になっていて探すのにちょっと苦労しましたが、nendoというデザインスタジオが担当した「作品」のようです。このnendoは「シンプルでミニマルなデザイン」で知られているとのことですが、果たしてPBブランドのデザイナーとして適任だったのでしょうか。

nendoのページの説明には

価格や商品説明は、陳列棚に設置される店頭POPにわかりやすく記載することで、購入後の生活空間に入り込むノイズが減るように配慮した。

とありますが、商品を購入する際に商品そのものに加えて陳列棚も見なければいけないということです。購入者にとっては手にする商品を見れば済むというのが理想的なように思えますが、そういう考えよりも購入後に「無」であることに重きを置いたようです。しかしこの「飲料」のページの写真のパッケージを見て、たとえば冷蔵庫に入っている緑茶とアップル100%をパッと区別できると思われるでしょうか。

これが発注側の責任なのか、デザイン事務所の問題なのかといえば両方なのだろうと思いますが、どういう経緯でこのデザインが世に出てしまったのかは興味のあるところです。絶対的に悪いというものではないので賛否両論あったでしょうし、世間でも好印象を持っている人はいるようなので難しいところですが、UI/UXユニバーサルデザインという観点からは明らかに悪手でしょう。nendoの方々もその専門家ではないかと思うのですが、「ノイズの排除」はそれよりも優先すべきものだったのでしょうか。

私が現在住んでいるところに来た25年ほど前にはコンビニといえばほとんどローソンしかなくて驚いたのですが、その後のダイエーの破綻とともにその独占的地位は失われ、実はセブンイレブンが本格的進出を果たしたのもわずか数年前のことです。ダイエー系列だった頃は商売っ気が目についてあまり好きではなかったのが三菱商事の傘下に入ってから良くなったと思っていたのに、また一歩後退という感じです。特にApple PayでPontaポイントも同時に付くところは良い印象だったのですが。