ミス日本とはいわゆるミスコンテストですが、そのグランプリは「日本女性の美の最高位」と謳われており、About usのページには以下のように書かれています。

その年を代表する、若く美しい可能性溢れる女性に贈られる最高の賞です。
輝く笑顔と健康的な姿に、次代を切り拓く女性リーダーとしての活躍が期待されます。
かけがえのない経験と成長が約束された、1年に1人だけの特別な存在です。

今年はここでいう「日本女性」とは何か、というのが話題になっているようですが、その理由は今年2024年のグランプリを受賞したのがウクライナ人の両親を持つウクライナ生まれの椎野カロリーナさんだったからです。無責任な人は「日本国籍でなくてもいいらしい」などというデマを飛ばしているようですが、応募資格には明確に

日本国籍を持つ17歳から26歳(2024年12月31日時点)までの未婚の女性。

と書かれています。もちろん椎野さんはすでに帰化しているということです。

そもそも皆簡単に「日本人」という言葉を使いますが、その定義はその時どきで様々です。日本国籍保持者だったり、日本国内居住者だったり、日本語話者だったり、大和民族だったりします。私も海外にいる間に日本人向けを謳っているサービスが海外居住者には使えなくて、日本人扱いされていないようで不快な思いをしたことがあります。しかし、椎野さんは5歳の頃から日本に住んでいるとのことで、日本国籍を持ち、日本に住んでいて、日本語を喋るということですから、彼女が日本人であるということに異を唱えるのは、日本が単一民族国家であるというような幻想に囚われている人種差別主義者だけでしょう。

これでまた一歩日本が世界標準に近づいたと言ってもいいのではないでしょうか。

なお、このミス日本やミス・ユニバースルッキズムとして批判されていることは私も知っています。しかし、外観に優れた人を称えることそのものはそんなに問題のあることでしょうか。その見た目の良し悪しで差別されることはあってはなりませんが、スポーツや学術などで優れた人を称えることとそれほど違うことなのでしょうか。また「美しい」という言葉の定義もいろいろです。私は今回のミス日本も椎野さんがグランプリになって話題になったから知ったという程度のことで、元々興味もなかったので特に擁護するわけではありませんが、これをSNSなどで吐き捨てるように言っている人もまたどうなのかと思ってしまいます。