Microsoftが同社の提供するSkypeのサービスを今年5月を以て終了すると発表しました。
今からちょうど40年ほど前に私が父の赴任でイギリスのロンドンに住んでいた頃、日本との通信手段は郵便か国際電話でした。国際郵便の料金は現在とそう大きくは変わらず、日本とイギリスの間は封書で200円台だったかと思いますが、届くまで2週間ほどかかってしまうので気の長い話しかできません。一方、国際電話は当時まだKDDの独占だったこともあって4.5秒で10円というような料金で、チャリンチャリンとコインが落ちていくのが聞こえるような感じで課金されていくため、とても落ち着いて会話などできませんでした。本当に必要事項だけ伝えてガチャンと切るような感じです。
その後時は流れて2010年にアメリカのサンフランシスコへ短期語学留学したとき、私はあまり使いませんでしたが、他の留学生らが母国の家族らとの通信に使っていたのはもっぱらSkypeでした。インターネットの普及と発展によって実現された音声・ビデオ通話サービスですが、何しろインターネットへの接続手段さえあればそれ以上はいくら長時間喋ろうがまったく料金がかからないというのが大きいです。
それではいったいどうやって稼いでいたのかというのがちょっと不思議なところで、一般固定電話や携帯電話への接続や留守番電話などの付帯サービスを有料で提供していたため、Skypeが普及するにつれてこれらのサービスを利用する人も増える、という理屈だったようです。しかしそれはそう上手くは行かなかったようで、常に収益不足には悩まされていて、ebayに買収されてからも数年おきに転売されて、最終的に現在のMicrosoftのもとにあるということになります。
現在は直接の競合はZoomや同じMicrosoftのTeamsといったビデオ通話・会議サービスになるかと思いますが、その他一般のメッセンジャーアプリにも通話サービスは普通に付いていますし、例えばiPhone同士であればFaceTimeを使って無料で音声・ビデオ通話ができてしまいます。こういう状況ではSkypeの役目はもう終わってしまったと言えるでしょうから、今回のサービス終了の発表もついにこの時が来たかというくらいのことではないでしょうか。
ということで、今となっては使っている人もあまりいないのではないかと思えるSkypeですが、一時的なものとはいえ大きな役割を果たしていたのは確かで、かつてお世話になったという人も少なくないのではないかと思います。ここは大きな拍手を持って見送りたいところです。