Harry Potter言わずと知れた世界中で大人気のファンタジーシリーズの第6作、”Harry Potter and the Half-Blood Prince“の英語版が発売されたのは去年の7月のことでしたが、それから10ヶ月後にようやく日本語訳「ハリー・ポッターと謎のプリンス」が発売されました。このシリーズは基本的には児童向けのものですが、ファンタジー好きな私はAmazonが予約受付を開始するのとほぼ同時に申し込んでいたため、発売日にはしっかりと手にすることができました。結局その翌日から読み始め、3日目の今日、一気に読了してしまいました。

ホグワーツでの1年を1巻で描いているこのシリーズも6巻目ということでハリーも6年生、16歳になっています。映画の方も2作遅れくらいで順次製作・公開されているので、本を読みながら頭の中に描くのはDaniel Radcliffeのイメージに固定されてしまっているのがちょっと問題なのですが、この作品が映画化される頃にはDanielも物語中のハリー以上にすっかり大人になってしまっているのではないかと余計な心配をしてしまいます。

今作ではタイトルになっている「謎のプリンス」(The Half-Blood Prince)というのが一体誰のことを指しているのか、様々な憶測を呼んでいましたが、なるほど私にとっても少々意外な人物でした。また今回は「名前を言ってはいけないあの人」ことヴォルデモートの謎が徐々に明らかになってきて、これまでに張られてきた伏線が少しずつ効果を発揮してきます。そして最後にまさかあの人が殺されてしまうことになるとは…すでに原書で読んで知っていたという人もいるでしょうが、私も知らずにいたことでいっそう楽しめましたので、ここでは伏せておきます。

海賊版による被害を抑えるためというようなとても自慢できない理由で中国語版はすぐに発行されたようなのですが、日本語訳にはしっかりと時間がかけられ、いつもの松岡氏の破綻のない安定した翻訳になっており、子供にも読みやすいものとなっているのではないでしょうか。しかしただ1カ所、明らかにロン(ロナルド・ウィーズリー)のことを指して「ルパート」と言ってしまっているところ(下巻p.252「『君の気の毒な友達のルパートにあんなことがあったあと、……」)があるのが気になってしまいました。ルパートといえばやはり映画でロン役を演じているRupert Grintが連想されますが、松岡氏も訳しながら映画のロンを頭に描いて混乱してしまっていたということなのでしょうか。
[追記] と思ったら、原書でもそうなっているみたいですね。わざとということでしょうが、これで混乱してしまう子供もいるのでは…

ちなみにこのシリーズは巻を追うごとにページ数がどんどん増えて、4巻目で2冊組になってからも増え続けていたので、次は一体どんな厚さになるのだろうと半ば恐れていたのですが、今度は一気に350ページ以上も減ってしまいホッとするやらガッカリするやらといった感じです。それでも上下巻あわせて1000ページほどにもなるのですが、私も夢中になって一気に読んでしまい「もっと読んでいたい」と感じてしまいます。

完結作となる第7巻は”7″並びの2007年7月7日発売ということですが、日本語版が読めるようになるのは今からちょうど2年後くらいということになりますね。今からもう待ち遠しくなってしまいますが、その前に映画の第5作があるのでそちらも楽しみです。