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エラゴン 遺志を継ぐ者 (書籍)

Eragon - Inheritance今年初めに映画「エラゴン 遺志を継ぐ者」を観たわけですが、ベストセラーになったという小説を原作としている割にはとても薄っぺらな感じがしてしまい、また特に原作を読んだ人の間での映画の評判が非常に悪いようなので、それでは一体原作はどれほどのものなのだろうかという気になり、原作の方を買って読んでみることにしました。ちなみに、原作は650ページ近くに及ぶ分厚いハードカバーのものと、3分冊された文庫版とがありますが、実は文庫版を3冊買った方が若干高くついてしまうということもあり、綺麗な装丁でお得なハードカバーの方を購入しました。

エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉
クリストファー パオリーニ Christopher Paolini 大嶌 双恵
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この本を読んでみると、原作ファンによる映画版への失望は全く納得・同意できるものでした。原作の中で展開されている様々なエピソードは、重要なものも含めほとんど割愛されてしまっていて、映画では本当に表面的な、ビジュアル的に見栄えのするシーンのみで構成されてしまっているようです。特にこの作品の大きな魅力となっているのはドラゴンと共に主人公エラゴンが成長する様子なのだと思いますが、短い上映時間のせいもあってそれがほとんど描くことができていないのが大きな問題です。また原作に登場する魅力的な人物の多くも割愛されてしまっているのも非常に残念です。

逆に言えば、原作の方はエラゴンの成長がいくつものエピソードを通して描かれ、また映画では1分足らずのシークエンスであっという間に成長してしまったドラゴンのサフィーラも長い時間を掛けて大きくたくましく育っていく様子が作品を通して描かれており、それが大きな魅力となっています。映画を先に観た私にとっては新しい発見ばかりでとても楽しく読むことができたのですが、原作を先に読んでファンになったという人が後で映画を観て大いに失望してしまったであろうことは手に取るようにわかります。

まあ映画の方はさておき、ファンタジー小説としてみたこの作品は10代の少年が書いたものであるということを考えなかったとしても、とても読みやすく、物語の世界にグイグイと引き込む力を持っているのではないかと思います。作者は指輪物語のファンでもあるということで、指輪物語をはじめとするファンタジー作品の多くと共通する世界観を持ちながら、ドラゴンに関する設定なども織り込んで、以前からのファンタジーファンに違和感を覚えさせることなくオリジナリティのある世界を作り上げているのは見事ではないでしょうか。

日本語版では特に大きな活字が使われており、ふりがなも随所に振られていて小学校高学年あたりからの読者も想定しているようです。当初は児童向けの作品であったのに巻を追うごとにシリアスな内容に変化してきてしまったハリー・ポッターシリーズに変わって、本格ファンタジーの入門としてうってつけかもしれません。ただ私が最後まで気になって仕方がなかったのが、少女のはずのドラゴンの口調が「……なのか」というような感じで可愛らしさを感じられない点で、これにだけは声で聴かせられるという点を差し引いても映画の方が良かったかもしれません。

まあ何はともあれ、ファンタジーファンの私にとっては軽くスイスイ読めるなかなかの良作なのではないかと思います。あくまで三部作の1作目という位置づけであり、「(2巻に続く)」と括られていることもあり続きを読まずにはいられないので、早速2巻目「エルデスト」を注文したいと思います。今度はハードカバーでも2分冊と大幅にボリュームアップしていますが、面白さも2倍になっているでしょうか。あ、でもひょっとしたら映画を先に観た方がいいのでしょうか…でもさすがにそれは待てませんね。

ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(上)
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