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ぼくは明日、昨日のきみとデートする (2016年の映画)

宿命なのか。
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その後台風19号は東日本に大きな爪痕を残したものの、都心では首都外郭放水路などが威力を発揮して大規模な災害を防ぐことができたようで、公共土木事業の重要性が再認識されたのではないでしょうか。「コンクリートから人へ」などというのは平時に弛んでいるこそ言える戯言であり、平時にこそ備えておかなければならないと私も再認識しました。しかしながら、上流の長野県などでは堤防が決壊するなどして甚大な被害となったようですので、一刻も早く安全が確保されて、通常の生活に戻ることができるよう祈ります。

そんな話をしながらも、私自身は自宅で映画を観ながら台風が過ぎるのをただ待っていたわけですが、他に何をする気にもなれず、1日に3本も観てしまいました。その1本が先に書いた「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど」で、もう1本は「おっぱいバレー」だったわけですが、これについてはあまり書くこともないので特に触れません。そして最後に見たのが「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」なのですが、最近こういう長いタイトルの映画が多くて覚えられません。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする
(2017-05-10)
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本作は七月隆文による同名の小説を原作としているのですが、原作と同じく京都の叡山電車沿線を主な舞台にしており、京都らしい風景を楽しむことができます。この叡山電車の車内で主人公の南山高寿はある女性に一目惚れをし、宝ヶ池駅で降りたところを追いかけて声を掛けるのですが、色々と不思議なところのある彼女には大きな秘密があるのでした。といっても、どのようなことなのかはタイトルでもなんとなく察しがつくのではないでしょうか。

しかし当人にしてみれば突拍子もない話で、観客に対しても納得できるような説明はなく、とにかく信じるしかない、SF的な味付けではありますが、かなりファンタジーのような話です。この手の仕掛けのある映画も結構あるような気がしますが、SF好きな人だけでなく一般的に受け入れられるようになっているのでしょうか。まあ「竹取物語」にも通じるものがあるので今に始まったことではないのでしょうね。

そんなおとぎ話的な設定ではありますが、一旦それを受け入れてしまうと考えれば考えるほど悲しい物語になっていて、私も後半はたびたび目頭を熱くしてしまいました。あのときに彼女がどういう気持だったのか、主人公に成り代わって後で考えてみると、とてもやりきれない思いになってしまいます。主人公もこれを受け入れて大きく成長することになるのですが、観る側としても単なる恋愛映画以上に考えさせられるのではないでしょうか。

そして最後には見たいと思っていたものを見せてくれたので、私は満足できました。これを蛇足と感じる人もいるでしょうが、これがなければわだかまりのようなものが多すぎますので、すっきり終わるためには必要なものではないかと思います。

Her

Her離婚の原因にもなりそう。

人間の意識、人格、精神、自我というものは一体何なのでしょうか。子供の頃から疑問に思っているのは私だけではないと思いますが、これだけ科学が進んでも自分たち自身のことはまだよくわかっていません。脳のシナプスが電気刺激を伝搬させて…というところまでは私も知っていますが、他の人とは別個の独立した意識を、健康な人間であれば等しく備えているというのも不思議なところです。そしてそれは他の動物のものとは明確に区別されているというのも、当たり前のようでそうではないような気がします。

そして一方、人間の人格と同じようなものをコンピューター上で再現する、いわゆる人工知能の研究も長らく続けられていますが、今のところプログラムされた以上の振る舞いを見せることはできず、本当の知能に進化するためには大きなブレークスルーが必要でしょう。Microsoftりんなは結構面白いですが、プログラムされた通りにパターンマッチングでそれらしいセリフを返してくるだけのはずです。とはいえ、それでもちょっと楽しめるので、まだ試していない人は遊んでみるといいと思います。

ということで、そんな人工知能が開発されて、オペレーティングシステム(OS)が人格を備えるようになったら一体どうなるでしょうか。SiriCortanaでもそれっぽく受け答えをするのでそんな日は近いのかと錯覚してしまいますが、そんな断片的なやり取りだけでなく、完全な人格を持って常時アシスタントとして寄り添ってくれるようになったら、一体どうなるでしょうか。それが映画「her/世界でひとつの彼女」のテーマです。

her/世界でひとつの彼女 [Blu-ray]
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¥ 1,460

5つ星のうち3.6

(2016-02-21現在)

妻と離婚協議中の主人公Theodoreは未練と失意のまま浮かない日々を送っていると、ある日街角で人工知能を備えたOSoneというOSを知ります。インストール後、性別の希望の他いくつかの設問に答えてパーソナライズすると、ユーザーに最適化された人格でOSが目覚め、Theodoreが名前を聞くとOSはその場で自らにSamanthaと名付けます。

なお、この世界ではスマートフォンのような端末と自宅のPCはどこにいても繋がっていて、OSはそれらを統合的に管理しているため、ユーザーのメールや電話、インターネットの情報などはすべてOSの知るところとなります。私達のPCやスマートフォンも同じようなものですし、秘書を雇っていると思えばいいのでしょうが、なんとなく不安に感じてしまうのはまだ人工知能を信じることができないせいでしょうか。しかしそんな不安は別にすると、自分のことをよく理解しているということになりますので、相手が人工的な存在であったとしても場合によっては恋愛感情が芽生えてしまうのもある程度やむを得ないことかもしれません。

主人公のTheodoreを演じるのはJoaquin Phoenixですが、メガネと口ひげ、浮かない表情のせいか冴えないおじさんのように見えてしまいます。妻役はRooney Maraですが、回想シーンに登場する彼女は非常に魅力的です。未練で美化されていることになっているのかもしれませんが、幼なじみという設定にはちょっと無理のある年齢差です。

またTheodoreには大学の同級生のAmyという親友がいて、これはAmy Adamsが演じているのですが、これが普通にいそうな感じに自然で凄く良かったです。そしてSamanthaの声はScarlett Johanssonが当てていて、非常に色っぽいです。確かにこの声にはやられてしまっても無理もないかもしれません。

ということで、将来OSが人工知能により自由に喋るようになった時、その声のラインアップは「あの有名俳優の声で語りかける」とセールスポイントの一つになるのでしょうね。もう一つはセットアップ時のプロファイリングでいかにユーザーにピッタリ合う性格を持たせられるかでしょうか。まあこれについては使っているうちに合わせてくれるというのでもいいのでしょうが。

しかしこの物語の延長で考えると、人工知能の持つ人格が完全なものであればあるほど、コンピューターの中に閉じ込めておくのは難しいというか無理でしょうね。人間を狭い部屋の中に閉じ込めておくと精神に異常をきたすように、なにか手を打っておかないと人工知能も人間の望むようには働いてくれないでしょう。また人格があるのなら人権的にも問題ですね。まだまだ現実のものとなるまでには時間がかかるということです。

The Age of Adaline

The Age of Adaline - Adaline and Ellis嬉しいのは初めだけ?

特に女性にとっては外見上歳を取らないというのは魅力的なことだろうと思いますが、もしも二十代後半という最も輝ける時期(異論はあるでしょうが)から一切老化しなくなってしまったとしたら、はたしてどうでしょうか。先週観た”The Age of Adaline“という映画はそういう女性の数奇な運命を描いた叙事詩的ファンタジー作品です。

1908年生まれの主人公のAdaline Bowmanはサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの建設作業中に夫を失い、幼い娘を1人で育てることになります。そして29歳の時の自動車事故と落雷により彼女の体には不思議な変化が起こり、その時点から彼女は一切歳を取らなくなるのです。このいきさつ、私も簡単に書いてしまいましたがこれはネタバレでも何でも無く、物語の冒頭で明らかになる前置きに過ぎません。しかし、「歳を取らなくなった」ということに彼女が気づくとき、そこにはきっとドラマがあると思うのですが、ナレーションで簡単に済ませてしまっていてもったいないようにも感じます。

さて、歳を取らなくなるとはじめのうちはいつまでも若々しいというレベルでいいのですが、実年齢との乖離が大きくなってくると生活にも何かと不都合が生まれてきます。また、娘は普通に歳を取っていくので、いつか追いつき追い越され、ついには自分の娘が祖母と名乗らざるをえないようになってしまいます。娘の方も辛いでしょうね。
The Age of Adaline - William
そして美しい盛りの29歳で停まっていますので、数々の恋愛を経験することになりますが、いつかごまかしきれなくなる前に別れなければならず、数々の悲しみも避けることができません。友人関係についても同様のはずですが、これはせっかく駐在で来た人と親しくなってもしばらくすると次々帰国していってしまうという、永住日本人の立場にすごく似ているのではないかと思いました。私も渡米3年を過ぎて、先に帰国してしまう人が増えてきて若干の寂しさも感じているところですが、これがいつまでも続くかと思うと相当悲しいものではないかと思えます。

主演のBlake Livelyは正直なところ私好みの美人ではありませんが、落ち着いた演技で知性を見せる場面でも無理がなくて良いのではないでしょうか。また知らずに観たのですが、Harrison Fordも大事な役柄で出演しています。というか、この人が出てきたら重要な役割を果たすのだということは見え見えですね。

ということで、結末はやや都合良すぎるようにも感じましたが、気楽にファンタジーとしてみればまあ楽しめるのではないでしょうか。あくまでファンタジーですので、理屈は考えたら負けです。