私が住む姫路市内には、以前は小規模な映画館が複数あったのですが、駅前にシネコンができたときにそれらがすべてなくなってしまいました。大手シネコンが進出するという話はそれ以前からあったのですが、そのたびに地元商工会に潰されてしまい、挙げ句の果てに地元の映画館主導で統合されてしまったのでした。その結果どうなったかというと、興業的な成功が見込まれる邦画、アニメ、大作だけが上映されることになり、どんなに高く評価されていても儲からないものはやらないということになってしまいました。10スクリーンもあるのに、儲かる作品だけ複数スクリーンでロングラン上映され、たとえアカデミー賞を取ろうとも「関心領域」などは上映されずじまいでした。

そういった理由でこのところ観たい映画が観られない状態が続いていたのですが、今日はちょっと思いつきで公開初日だった「フォールガイ」を観てみることにしました。

アクションスターのTom Riderのスタントダブルを長年務めてきたColt Seaversですが、撮影中の事故をきっかけにしばらく業界から遠ざかっていたところ、撮影技師だった元ガールフレンドJody Morenoの初監督作品にプロデューサーGail Meyerに呼び戻されてみたところ、Tomが行方不明なので探してほしい、とGailに頼まれて探し始めると…という内容です。

主役のColtはRyan Goslingが演じており、Ryanらしいコミカルな演技は本作にぴったりです。ヒロインのJodyを演じているのはEmily Bluntで、私は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」以来Emilyのファンなのですごく楽しみにしていたのですが、やはりとても素敵でした。

本作は基本的にはロマンティック・コメディなのですが、ストーリーはどうもバカバカしいようなところもあり、いい映画だったかというとなんとも微妙なところです。しかし、随所に過去の映画の引用があったり、スタントが活躍したであろう派手なアクションシーンが多々あって、それらは非常に楽しむことができました。また、本作は作中で映画を撮影しているということでメタ的な構成になっているのも面白いところです。

しかし一番興味深かったのは実はエンドロールです。画面の右側をスタッフの名前が流れている間、左側には本編の撮影場面の映像が流れていて、本物のスタントシーンの撮影風景を見ることができるのです。本編ではColtのアクションシーンがたくさん登場しますが、あの場面はこうやって撮影されていたのか、というのはもっとじっくり見せてほしいくらいでした。

ということで作品そのものに対する評価はあまり高くないのですが、それなりに楽しむことができた感じです。あとはまたちょっと犬を飼いたくなりました。