これまで「マッドマックス」シリーズを順に観てきたわけですが、最後に残った「マッドマックス/サンダードーム」をようやく観ることができました。なぜこの作品を観たかったかというと、私の中学生時代にTina Turnerが主題歌を歌ってヒットさせるとともに、映画にも出演していたのを覚えていて、でも最近の「怒りのデス・ロード」や「フュリオサ」の話を聞いていても本作だけはまったく話題に出てこないので気になっていたためです。まあ、話題にならないのは察するべきところだったかもしれません。

一言で言えば酷い作品でした。これは本作のロケハン中にプロデューサーのByron Kennedyを事故で亡くしたことで監督のGeorge Millerが関心を失ってしまったからだそうで、結果的に何もかもがデタラメになってしまったように思えます。私が一番冷めてしまったのは機関車で逃亡するMaxらと、それを追いかけるTina Turner演じるAunty Entityの一味との最後のクライマックスですが、あの舞台設定であんなにきれいな線路が敷かれているのはどういうことなのか、というところでした。他にも突っ込みどころは満載ですが、レイティングがGになっているように本作ではあまり人が死なないのが私には救いだったかもしれません。

また本作では「マッドマックス2」に出てきたGyro Captainがまた出てくる…のかと思ったら、同じ俳優Bruce Spenceが似たような役を演じているだけで、Jedediahという別人の設定だというのだから紛らわしいことこの上ありません。

音楽も「マッドマックス2」まではQueenではない方のBrian Mayによるクラシック系のもので雰囲気が作られていたのに対し、本作では明るい80年代のハリウッド映画か海外テレビドラマのようなものになってしまい、これもぶち壊しです。

まあなんというかケチを付けるときりがないのですが、読んでいても気分の良いものではないでしょうから、これくらいにしておきます。逆に考えるとよくこの状態から30年ほど経って「怒りのデス・ロード」なんていう作品をまた作り上げたものです。なお、こんな作品でも興行成績はそれほど悪くもなかったようなのは、やはり「マッドマックス2」までのおかげでしょうか。