Mad Max: Fury Road体験したくはない世界。

10歳ほど歳の離れたT君が知らなかったことで最近衝撃を受けたのですが、私の年代以上の人であれば普通マッドマックスは観たことがなくてもどのような雰囲気のものなのかは知っているのではないかと思います。実は私もつい最近シリーズ1作目を観ただけなのですが、それは単に痛々しいのが見たくなかったからで、久しぶりに続編が公開されるということを予告を見て知って観てみたわけです。そしてその27年ぶりの続編「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がいよいよ公開されて高い評判を得ていたので、私も早速観てきました。

シリーズのこれまでの作品とは世界観と主人公Maxの設定を共有しているのみなので、過去の作品を観ている必要はなく楽しめそうです。核戦争によって荒廃した近未来、ガソリンと水とが貴重な資源としてこれらを制するものが社会を支配する世の中で、妻子を失って自暴自棄になっている主人公Maxが横暴な支配者に立ち向かう、というのがシリーズ共通の設定です。今回はImmortan Joeという支配者に囚われたMaxが、Joeの下から逃げ出したImperator FuriosaとJoeの5人の「花嫁」と合流し、自由を求めて砂漠を行くことになります。
The Gigahorse
この作品の見どころの一つは登場する様々な改造を施された車両たちです。モンスタートラックにV8エンジンを2つ搭載して乗用車のキャビンを付けたようなThe Gigahorse、沼地でも高速走行できるクローラーを持ったThe Peacemaker (実在するRipsawという軽戦車がベース)、はたまた巨大なスピーカーを山ほど装備してドラム隊とギタリストを乗せた楽隊用の車両になったDoof Wagonなどユニークなものが登場して楽しめます。Maxらが乗るのはV8エンジンを前後に2つ載せた巨大な機関車のようなトレーラーThe War Rigで、パワーに物を言わせて走り抜けていきます。
The War Rig
素晴らしいのはこれらの車両を含め、統一された世界観です。少なくとも画面上では一切の破綻が見られないので、観客はこの荒廃して狂気がはびこった世界に没入することができます。この作品を観るということは、この世界観に浸るということかもしれません。Immortan Joeのレバー操作によって高いところから貴重な水がぶちまけられ、下々の者がそれに群がる場面など、この世界では十分に有りそうなことです。

キャストについてはさすがに過去3作から時間が経ってしまっているので一新されていますが、Mel Gibsonがこの役をきっかけにスターの座を得た主人公のMax RockatanskyはTom Hardyが演じています。Melとそれほど似ているというわけではないと思いますが、雰囲気はしっかり作っているので観ている間にも一瞬Melが出ているものと思い込んでしまうことがありました。ヒロインであるImperator Furiosaの役は美しいCharlize Theronですが、頭を剃り上げ、目の周りを黒く塗り、そして左手が義手という姿で迫力のある演技を見せてくれており素晴らしいです。

1億5千万ドルという巨額の制作費がつぎ込まれた本作は興行的にも大成功…と言いたいところなのですが、レイティングRの影響か爆発的なヒットと言うまでには至らないようです。しかし大人には楽しめること間違いないので、来月の日本での公開を楽しみにしていただきたいと思います。そんなに残酷な描写はないのでRというのは厳しいと思うのですが、日本ではR15+のようなので高校生にも堂々と楽しんでいただけますね。