The Age of Adaline - Adaline and Ellis嬉しいのは初めだけ?

特に女性にとっては外見上歳を取らないというのは魅力的なことだろうと思いますが、もしも二十代後半という最も輝ける時期(異論はあるでしょうが)から一切老化しなくなってしまったとしたら、はたしてどうでしょうか。先週観た”The Age of Adaline“という映画はそういう女性の数奇な運命を描いた叙事詩的ファンタジー作品です。

1908年生まれの主人公のAdaline Bowmanはサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの建設作業中に夫を失い、幼い娘を1人で育てることになります。そして29歳の時の自動車事故と落雷により彼女の体には不思議な変化が起こり、その時点から彼女は一切歳を取らなくなるのです。このいきさつ、私も簡単に書いてしまいましたがこれはネタバレでも何でも無く、物語の冒頭で明らかになる前置きに過ぎません。しかし、「歳を取らなくなった」ということに彼女が気づくとき、そこにはきっとドラマがあると思うのですが、ナレーションで簡単に済ませてしまっていてもったいないようにも感じます。

さて、歳を取らなくなるとはじめのうちはいつまでも若々しいというレベルでいいのですが、実年齢との乖離が大きくなってくると生活にも何かと不都合が生まれてきます。また、娘は普通に歳を取っていくので、いつか追いつき追い越され、ついには自分の娘が祖母と名乗らざるをえないようになってしまいます。娘の方も辛いでしょうね。
The Age of Adaline - William
そして美しい盛りの29歳で停まっていますので、数々の恋愛を経験することになりますが、いつかごまかしきれなくなる前に別れなければならず、数々の悲しみも避けることができません。友人関係についても同様のはずですが、これはせっかく駐在で来た人と親しくなってもしばらくすると次々帰国していってしまうという、永住日本人の立場にすごく似ているのではないかと思いました。私も渡米3年を過ぎて、先に帰国してしまう人が増えてきて若干の寂しさも感じているところですが、これがいつまでも続くかと思うと相当悲しいものではないかと思えます。

主演のBlake Livelyは正直なところ私好みの美人ではありませんが、落ち着いた演技で知性を見せる場面でも無理がなくて良いのではないでしょうか。また知らずに観たのですが、Harrison Fordも大事な役柄で出演しています。というか、この人が出てきたら重要な役割を果たすのだということは見え見えですね。

ということで、結末はやや都合良すぎるようにも感じましたが、気楽にファンタジーとしてみればまあ楽しめるのではないでしょうか。あくまでファンタジーですので、理屈は考えたら負けです。