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A Star Is Born (2018)

Gaga本人の実話ではないかと思えるほど。

先日の「ボヘミアン・ラプソディ」に続いて音楽に関する映画になりますが、今日は「アリー/スター誕生」を観てきました。この作品は1937年の映画「スタア誕生」の3回目のリメイクになるとのことですが、1937年版と1954年版はハリウッドの映画界を舞台としていたのに対し、1976年版と今作は音楽界に舞台を移したものとなっています。そしてもちろん細かい設定は現代的なものにアレンジされているので、原案程度のものなのだろうと思います。ちなみに1937年版はすでにパブリックドメインとなっていてYouTubeなどでも全編を観ることができるようになっているので、近いうちに観てみたいと思っています。

本作は人気歌手Jackson MaineとAllyが偶然の出会いから惹かれ合い、Allyの歌に惹かれたJacksonが彼女を自分の舞台に上げてAllyの作った歌をデュエットさせたことがマネージャーの目に止まって、トントン拍子でAllyもグラミー賞の新人賞を取るまでになり…という成功と苦悩と悲しい愛の物語です。

Jacksonを演じているのはBradley Cooperですが、本作はBradleyの初監督作品でもあります。主役を演じながら自ら監督するというのがどういうものなのか私には想像もできませんが、この作品ではさらに主題に深く関係する歌を歌っているのですから凄いことです。Bradley Cooperって歌手でもあったかな、と思うほどに歌も上手いのですが、天は二物をなんとやらというのは何だったのでしょうか。

そしてもうひとりの主役Allyを演じるのがLady Gagaであるということで本作は話題になっているのではないかと思います。もちろんGagaは歌手なので歌唱力を大いに発揮しているわけですが、演技の方もかなりのものではないでしょうか。複雑な感情の表現が求められる役柄であるのに、実に見事かつ自然に演じきっていました。批評家からも高い評価を得ているようで、本作自体はRotten TomatoesのTomatometerは90%ということですから、これはもう絶対的な傑作と呼んでも良いはずです。ただ、Gaga自身の映画出演はこれが初めてではなく、これまではそう目立った活躍でもなかったことを考えると、本作の役柄が本人に上手く合ったということなのかもしれません。とはいえ、本作での演技については私も手放しで称賛したいと思います。

ということで、長い年月をかけて4回もリメイクされるというのも凄いことですが、これだけ成功したリメイクもなかなかないのではないでしょうか。なお、今回のリメイクにあたって当初はBeyoncéの主演が予定されていたそうですが、それが実現していたとしたらまた違ったものになっていたでしょうね。それもまた観てみたかったような気がしますが、それは叶わぬ夢ということで夢想するに留めるしかありません。

Titanic

やっぱり名作なのですね。

昨年末に公開されてから私も劇場で4回も観てしまった「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は前評判や当初の勢いから世界歴代興行収入1位に輝くのではないかと期待されていましたが、結局のところ3位どまりとなってしまっているようです。あれだけのものでも届かないというのはどういうことなのか不思議でなりませんが、その上にある2作品、1位の「アバター」も2位の「タイタニック」も、いずれもJames Cameron監督の作品であるというのも凄いことです。

「アバター」に関しては本格的に3D撮影が行われた最初の作品で、多くの人がこの作品で初めて3D映画を体験したということで大きな話題となり、その話題がさらに人を呼んだということもあるでしょう。また、3D上映の場合は料金が上乗せされることが普通だと思いますので、興行収入としてはその分上乗せされているというのも事実ではないでしょうか。しかし仮にそれを割り引いたとして例えば25%を差し引いたとしても、まだ「フォースの覚醒」は「アバター」には届かないのですから、偉大な作品であるということは認めざるをえないでしょう。

そして2位につけている「タイタニック」、あの船の舳先で主人公の男女が両手を左右水平に伸ばして戯れるあのシーンは知らない人がいないほどではないかと思いますが、実は私はこれまで観たことがありませんでした。もちろんいつかは観たいと思っていたのですが、いつでも観られるだろうということと、3時間を超える上映時間に怯んでしまっていたのです。しかし昨日の夕方、自宅で何か映画でも観ようかと思った時に目に留まり、時間もあったので観てみるかということになったのでした。

タイタニック (2枚組) [Blu-ray]

¥ 927

(2016-10-11現在)

「ターミネーター」シリーズや「アバター」などSFアクション作品のイメージが強いJames Cameron監督が挑んだラブロマンス大作ということですが、中盤以降の緊迫感はディザスタームービーさながらでロマンチックなムードはどこへやら、Cameronの本領発揮というところでしょうか。

この作品を撮るに当たっては実物大のタイタニックを建造したということですから恐ろしいことで、製作費は3億ドル近くもかかっているそうです。それに対して興行収入は7倍以上となったので大成功といえるのでしょうが、絶対に成功させなければいけないものだったわけです。もちろん、映画製作者はいつだって成功させなければならないと思って作っているでしょうが。ちなみに「アバター」の製作費はこれより2割ほど少ないようなので、ますます大成功だったわけですね。

主演のLeonardo DiCaprioとKate Winsletはかたや根無し草の青年、かたや上流階級の令嬢という悲運の恋の物語をとてもいきいきと演じています。ともにこの作品が大出世作となってその後の大活躍に繋がったのか、Kateは2008年の「愛を読むひと」で、Leonardoは昨年の「レヴェナント: 蘇えりし者」でついにアカデミー賞主演男優/女優賞をそれぞれ受賞する、現代を代表する大俳優となっているのは誰もが知っていることでしょう。なお、この作品が公開された年のアカデミー賞では、この本作で作品賞、監督賞など11部門もの受賞があったとのことです。

私達が乗ったクルーズ船はカジュアルな一般大衆向けの船なので豪華絢爛というようなものではありませんでしたが、それでもそれなりに贅沢さを感じさせるものでした。カリブ海という比較的穏やかな海で天候も良かったということもありますが、航行中も船はほとんど揺れることがなく、揺れたとしてもは船体が大きいのでゆったりとした揺れで非常にどっしりしており、外の景色を観なければ乗り物に乗っているということもまったく意識することがありませんでした。100年前にタイタニックに乗っていた乗客らも同じような感じだったろうと思いますが、そのような巨大な船がわずか数時間のうちに海に消えてしまうとは誰が想像したでしょうか。そんな状況でのパニックを非常にリアルに描いていて、194分という上映時間もまったく長すぎると感じなかったのは、ラブストーリーとディザスタームービーの2本立てのようなものだったからかもしれません。

Her

離婚の原因にもなりそう。

人間の意識、人格、精神、自我というものは一体何なのでしょうか。子供の頃から疑問に思っているのは私だけではないと思いますが、これだけ科学が進んでも自分たち自身のことはまだよくわかっていません。脳のシナプスが電気刺激を伝搬させて…というところまでは私も知っていますが、他の人とは別個の独立した意識を、健康な人間であれば等しく備えているというのも不思議なところです。そしてそれは他の動物のものとは明確に区別されているというのも、当たり前のようでそうではないような気がします。

そして一方、人間の人格と同じようなものをコンピューター上で再現する、いわゆる人工知能の研究も長らく続けられていますが、今のところプログラムされた以上の振る舞いを見せることはできず、本当の知能に進化するためには大きなブレークスルーが必要でしょう。Microsoftのりんなは結構面白いですが、プログラムされた通りにパターンマッチングでそれらしいセリフを返してくるだけのはずです。とはいえ、それでもちょっと楽しめるので、まだ試していない人は遊んでみるといいと思います。

ということで、そんな人工知能が開発されて、オペレーティングシステム(OS)が人格を備えるようになったら一体どうなるでしょうか。SiriやCortanaでもそれっぽく受け答えをするのでそんな日は近いのかと錯覚してしまいますが、そんな断片的なやり取りだけでなく、完全な人格を持って常時アシスタントとして寄り添ってくれるようになったら、一体どうなるでしょうか。それが映画「her/世界でひとつの彼女」のテーマです。

her/世界でひとつの彼女 [Blu-ray]

¥ 1,460

(2016-02-21現在)

妻と離婚協議中の主人公Theodoreは未練と失意のまま浮かない日々を送っていると、ある日街角で人工知能を備えたOSoneというOSを知ります。インストール後、性別の希望の他いくつかの設問に答えてパーソナライズすると、ユーザーに最適化された人格でOSが目覚め、Theodoreが名前を聞くとOSはその場で自らにSamanthaと名付けます。

なお、この世界ではスマートフォンのような端末と自宅のPCはどこにいても繋がっていて、OSはそれらを統合的に管理しているため、ユーザーのメールや電話、インターネットの情報などはすべてOSの知るところとなります。私達のPCやスマートフォンも同じようなものですし、秘書を雇っていると思えばいいのでしょうが、なんとなく不安に感じてしまうのはまだ人工知能を信じることができないせいでしょうか。しかしそんな不安は別にすると、自分のことをよく理解しているということになりますので、相手が人工的な存在であったとしても場合によっては恋愛感情が芽生えてしまうのもある程度やむを得ないことかもしれません。

主人公のTheodoreを演じるのはJoaquin Phoenixですが、メガネと口ひげ、浮かない表情のせいか冴えないおじさんのように見えてしまいます。妻役はRooney Maraですが、回想シーンに登場する彼女は非常に魅力的です。未練で美化されていることになっているのかもしれませんが、幼なじみという設定にはちょっと無理のある年齢差です。

またTheodoreには大学の同級生のAmyという親友がいて、これはAmy Adamsが演じているのですが、これが普通にいそうな感じに自然で凄く良かったです。そしてSamanthaの声はScarlett Johanssonが当てていて、非常に色っぽいです。確かにこの声にはやられてしまっても無理もないかもしれません。

ということで、将来OSが人工知能により自由に喋るようになった時、その声のラインアップは「あの有名俳優の声で語りかける」とセールスポイントの一つになるのでしょうね。もう一つはセットアップ時のプロファイリングでいかにユーザーにピッタリ合う性格を持たせられるかでしょうか。まあこれについては使っているうちに合わせてくれるというのでもいいのでしょうが。

しかしこの物語の延長で考えると、人工知能の持つ人格が完全なものであればあるほど、コンピューターの中に閉じ込めておくのは難しいというか無理でしょうね。人間を狭い部屋の中に閉じ込めておくと精神に異常をきたすように、なにか手を打っておかないと人工知能も人間の望むようには働いてくれないでしょう。また人格があるのなら人権的にも問題ですね。まだまだ現実のものとなるまでには時間がかかるということです。