おバカ映画ですが。
🧟‍♂️

肉体の復活を信じる土葬という宗教的習慣が大きく影響しているのか、アメリカではなぜかゾンビの人気が高く、ホラー映画ともちょっと違うゾンビ映画というのが一つのジャンルとして成立しています。ゾンビになるにも様々な方法や理由が生み出されていますが、新型コロナウィルスのワクチンとしてmRNAワクチンというこれまでに承認されたことのない新しい方法のものが開発されているということで、これはまさしく「アイ・アム・レジェンド」と同じではないか、などとも言われています。

私自身はもともと好きなジャンルでもなく、以前「ランド・オブ・ザ・デッド」を観てみてさらに苦手になったのですが、そう言いつつもなぜかいろいろ観てしまっているようです。そんなゾンビ映画の一つ、「高慢と偏見とゾンビ」がなぜか最近Amazon Prime Videoでおすすめされるようになっていて、それは主演のLily Jamesを先日「イエスタデイ」を観たときに調べてみたせいかもしれないと思っているのですが、なぜかちょっと気になってしまいました。

本作の原作となっている小説「高慢と偏見とゾンビ」はJane Austenの1813年の小説「高慢と偏見」をもとにしたパロディ作品で、Seth Grahame-Smithがゾンビをストーリーに取り込んだものになっているということで、これはきっと見る前に元の小説を読んでおくべきだろうと思い、これまでに何度も訳されている中から最近の翻訳を選んで読んでみました。しかし、比較的読みやすい作品ながら650ページもあるため時間がかかってしまい、読み終えたのはちょうどAmazon Prime Videoの無料配信の最終日で、読了後に慌てて本作を見ることになってしまいました。

「高慢と偏見」は18世紀末頃のイギリスの上流階級で、良家へ嫁ぐ事だけが女性の成功とされている社会の出来事を描いている小説ですが、「高慢と偏見とゾンビ」ではそのイギリスでは人類とゾンビとの最終決戦が始まろうかということになっています。そこでは主人公Elizabeth Bennetらもゾンビと戦うための武道を修めており、オリジナルの登場人物らよりだいぶ自立しているように思えます。そういった違いはあるものの、主な登場人物の関係はほぼオリジナル通りとなっており、私はオリジナルを読んで知っていたからこそすんなり理解できました。しかし、もしオリジナルを知らなかったら、かなり速いペースで進行するので十分に把握することは難しいのではないでしょうか。ただ、これはゾンビ要素がなかったとしても、たとえば「プライドと偏見」などオリジナル版の映画化作品でも同じような感じになってしまうかもしれません。

正直なところ、この作品はパロディだからこそ楽しめるものであって、単体の作品としてみた場合にはどうなのでしょうか。そのバカバカしさを楽しめる人には良いような気もするので、あまり深く考えてはいけないのかもしれません。まあ映画というのはそういうものでもありますよね。個人が楽しめればそれでいいのでしょう。