Space Center Houston“Houston, Tranquility Base here. The Eagle has landed.” – Neil Armstrong

私は今、テキサス州州都オースティンに来ています。日本からの出張者のお供として先週こちらに来たのですが、週末に戻る予定が変更になり、今週まで滞在を延長することになりました。もともと延長になる可能性はあったので若干の余裕は持たせていたものの、衣類の洗濯が必要になるなど少々の面倒があります。また、週末を挟むことになってしまうので、出張者に退屈させずリフレッシュしてもらうことも考えなければなりません。

ということで近辺になにか面白いものはないかと調べてみたのですが、オースティンはおしゃれで美味しい飲食店が数多くあったり、清潔で安全な素晴らしい街ではあるものの、残念ながら観光地ではありません。3月のSXSWなどは見てみたいものですが、それはそれで大変な混雑になってしまいそうなのでむしろその時期でなくて良かったのではないでしょうか。テキサス州会議事堂はちょっとしたものですが、ゆっくり見ても小一時間ではないでしょうか。

そこでオースティンから近郊へ足を伸ばしてみようかと地図を眺めていたところ、ヒューストンが日帰りできる距離であることが分かりました。ヒューストンは全米第4の人口、第2の面積を持つという大都市ですが、ここに何があるのかといえば「こちらヒューストン」ということでNASAジョンソン宇宙センターです。私は1年ちょっと前にはケネディ宇宙センターにも行って、ヒューストンの方にもぜひ行ってみたいとは思っていましたが、出張者も興味があるので行きたい、ということだったので片道3時間少々のドライブに我慢いただきお連れすることにしました。

実際に訪れるのはジョンソン宇宙センターに隣接する、見学者用の施設であるスペースセンターヒューストンです。入口横にはスペースシャトル輸送機であるN905NAがシャトルの模型であるIndependenceを背負って展示されていますが完全ではなく、これは近日公開ということのようです。

まずここに入場すると最初にアメリカの宇宙開発史をまとめた映像をDestiny Theaterで観て、気分を盛り上げることになります。その後いくつもの実物展示を見て、メインのアトラクションであるトラムツアーへと移ります。こちらはISSのモジュールが並べてあるところを見に行くツアーと、実際の管制室を見に行くツアーとがあり選ぶことができますが、モジュールはモックアップだということなので、本物志向で管制室の方のツアーに並ぶことにしました。なおツアーは30分毎に出発するもので予約は不要です。

トラムは出発するとChristopher C. Kraft Jr. Mission Control Centerへと向かいます。ここではもっぱらISSの管制を行っているようですが、今回見学できたのは実際にISSを管制しているところではなく、21世紀仕様の管制室として作られ、現在リハーサルが繰り返されている新しい管制室とのことでした。訪れたのが土曜日なので職員はいませんでしたが、平日は実際に使用されているようで、前方のスクリーンにはISSの現在位置などがリアルタイムに表示されていてなかなかのものです。映画などで見た管制室との大きな違いは机上の画面が全て大きめの液晶パネルになっていることでしょうか。

ここではNeilという年配の男性が詳しく説明してくれたのですが、そのNeilが名乗った時一瞬空気が止まり、そして直後に「でもあのNeilじゃないよ」といって笑いが起こるのはお約束なのでしょうがちょっと面白かったところです。残念ながらあのNeilは既に亡くなっていますからね。このほか様々な細かいジョークを交えながら楽しい解説を行ってくれたので、このツアーに参加して良かったと思えました。

この後またトラムに乗って移動し、今度はRocket Parkというところでいくつかのロケットやそのエンジンが展示されているのを見ることができますが、目玉となっているのはSaturn Vです。アポロ計画スカイラブ計画で使用されたこのロケットはケネディ宇宙センターにも展示されていましたが、こちらの方が同じ高さで見ることができるのはいいかもしれません。トラムツアーはこれで終了で、館内へ戻って時間が許す限り残りの展示を見るという感じになるでしょう。

ケネディ宇宙センターがロケット等の打ち上げを司っているのに対し、ジョンソン宇宙センターは打ち上げ直後から航行を司るものになっているのですが、ということはここにはロケットやシャトルなどの実機は来ていないということで、ケネディ宇宙センターにあったようなロケットやその発射台、輸送機などはここでは基本的には見ることができないということです。その代わりに開発時のエピソードに関する展示や管制室といったものを見ることができるので、どちらが好きかは別として、結構違うものでした。私はケネディ宇宙センターでのシャトルAtlantisにいたく感動したのであちらの方が好きですが、こちらはこちらでそれなりに楽しむことができました。なんといっても本物の管制室を見る経験というのはなかなかないものではないでしょうか。