驕れる者久しからず…
ついにNetscapeという名のブラウザの開発が終了されることとなりました。
私が大学を何とか卒業したのと同じ1994年、後にウェブブラウザの代名詞ともなったNetscape、略称「ネスケ」はリリースされました。当時は目立った競争相手もなく爆発的に広まることとなり、de facto standardの座を獲得していたためにNetscape独自の仕様拡張にHTMLの仕様があとから付いてくるような状況だったように思います。
しかし、Netscapeはシェアウェアとしてのビジネスモデルを選択していたため、当初は有償オプション扱いだったInternet Explorerを後にWindowsそのものに組み込んでしまったMicrosoftによってあっという間にシェアを奪われ、没落への道を一気に駆け下りることになってしまったのでした。やはりNetscapeのソフトウェアの方が素晴らしいものであったとしても、OSに最初から付属されているものを利用せずに別の製品を追加購入させるというのは、余程の差がない限り難しいものだというのは誰が考えてもわかることでしょう。
結局敗れ去ったNetscapeは当時まだ辛うじて保たれていたブランド力を欲したAOLに1998年に買収され、後にブラウザ開発はAOLにより設立されたMozilla Foundationに移管されて継続されることとなったわけですが、このMozilla Foundationからリリースされることとなり私も日頃愛用しているのがFirefoxなのですから、私もAOLにはある程度の恩義を感じなければならないのでしょうか。
その後つい最近までNetscapeブランドのブラウザもリリースされてきていたのですが、それはもはや栄光のブランドNetscapeの名を冠しているだけでFirefoxにNetscape風のスキンを被せたもので、その存在意義は私にはなかなか理解できないものとなっていました。今回の開発終了の発表は遅すぎたのではないかと主思えますが、やはりその存在に疑問を感じていたのが私だけではなかったということでしょう。まあ当たり前ですよね。
まだIEとのシェアが拮抗していた頃にはNetscapeとMicrosoftとの間で拡張競争が激化して、標準であるはずのHTMLは一体どうなってしまうのか、規格は形骸化し分裂してしまうのか、とまで思ったものですがそれも懐かしい昔話でしかなく、今はMicrosoftの非互換性が云々されることはあってもMozillaなど他ブラウザ陣営が規格を厳格に守る姿勢を取っているおかげもあってかかなり安定しています。まあ現在はHTMLで実現できる静的なテキスト表現で争うような時代ではありませんが。
良し悪しは別として一時代を築いたNetscapeの名が消えていってしまうのはちょっと寂しいような気もしますが、何にしてもこういう栄枯盛衰というものがあるものなのでしょうか…私はほとんど使わなかったので大した感慨はないのですけど。