ATOKこの開発はいつまで続くのでしょうか…

PCで日本語を入力する人にとってなくては困るのが「IME」(Input Method Editor)やIM(Input Method)と呼ばれる入力支援ソフトウェアで、古くは「カナ漢」や「FEP」(Front-End Processor)などと呼ばれていたものですが、多くのものがカナやローマ字で入力されたカナ文字を漢字に変換するという方式を採っており、この際に様々な構文解析と膨大な字句を収めた辞書とを駆使する高度なプログラムとなっています。かつては複数のメーカーから様々な製品が発売されていたものですが、Windowsに標準でMS-IMEが搭載されるようになってからはことごとく淘汰されてしまって、今も製品として残っているのはジャストシステムATOKくらいのものになってしまいました。

まあそれも無理もない話で、「OSにタダでついてくるならそれを使えばいいじゃない」というのはウェブブラウザの世界でNetscapeが駆逐されてしまったのと同じことです。ましてやIMEなどというのはアプリケーションとしてユーザに意識されることもほとんど無い裏方的なものですから、それをわざわざ別のものを買ってきて入れ替えようなどというのはあまり考えないものでしょう。

しかしつい先日、マイクロソフト株式会社(MSKK)の元社長であり、MicrosoftのVPでもあった古川享氏が自身のブログでも言っていた通り、このMS-IMEの誤変換がバージョンを追うごとに酷いことになっていて、文章を入力する機会の多い人にとってはかなりストレスが感じられるものになっているのではないでしょうか。

私自身、職場ではOffice 2000付属のIMEがインストールされたPCを使用していますが、極力これを利用することは避けて、文書を作成する際にはEmacsSKKを利用して「下書き」を作成し、これをMS WordなどにCopy & Pasteするようにしています。ただ、メール等までいちいちそんなことをするのはさすがに面倒なのでMS-IMEを使って普通に入力するのですが、この時にはかなりイライラさせられることがしばしばです。

では自宅では、というとちょうど2年前に購入したATOK 2006を愛用しています。先の古川氏のブログでも

某MS社員に、「MS IME最近どうなっているのよ?」と先週聞いた答えが…「IME開発の主体が、中国にシフトしまっていて我々も手を出せない……個人的にはATOKに切り替えようと思っている」と言う現役開発系社員の発言に絶句!!!

ということですから、やはりちゃんとしたものを使おうと思うとATOKしかないようです。そんなタイムリーにこんな話題が取り上げられるとそれが古川氏でなければジャストシステムの宣伝かと思ってしまうところですが、実はこのATOKがつい先日バージョンアップされて、ATOK 2008 for Windowsが発売されています。

ATOK 2008 for Windows
メーカー:ジャストシステム
ジャストシステム (2008/02/08)
ISBN/ASIN:B00111O8YQ

ということで、私のところにはメールでバージョンアップのお知らせが届いていて、「今なら優待価格」という文句に釣られて先行予約してしまったので、それが発売日の2月8日当日には手元にありました。こういうソフトウェアはしばらく使ってみてからでないと良いも悪いも言えない、ということで今まで使ってみたのですが、これまでの2006と何が違うかというと細かいところが色々変わっています。しかし、変換効率自体はさすがにすぐに体感できるほどの進化ではなく、これまで通りのクオリティの高さというくらいのものです。ただ、目立つのは単漢字変換の際にその漢字の情報が大きなウィンドウで表示されるようになったことで、画数、読み、常用漢字などの該非、各種文字コードなどが詳しくわかります。これが実際に役に立つ局面がどれほどあるかというのは人にもよるでしょうが、便利と感じる人もいるのではないでしょうか。

IME自体は筆記用具のようなもので、同じボールペンでも拘らない人は100円もしないもので十分でしょうが、何万円もするようなものでスラスラと気分良く書きたいという人もいます。弘法筆を選ばずとは言いますが、いい道具を使うことで能率が上がるということはあるものなので、日頃IMEの誤変換にストレスを感じているという人はぜひ一度ATOKを試してみていただきたいと思います。6000円程度で気分良く文章が入力できるのなら安いものではないでしょうか。まあATOKも誤変換がないというわけではないんですけどね…