Safariいくつか不満はあるものの…

昨年のWWDCでの発表以来半年あまりのパブリックベータテストを経て、ついにWindows版Safariの最初の正式リリース版ともなる、Safari 3.1がリリースされました。「世界最速のブラウザ」を謳うSafariですが、

2008年3月18日、アップルは本日、Mac®とWindows PCのための世界最速のウェブブラウザ、Safari™ 3.1を発表しました。SafariはウェブページをIE7と比べて1.9倍、Firefox 2と比べて1.7倍速く読み込みます。Safariはまた、JavaScriptも他のブラウザに比べて最大6倍速く動作させるほか、高度にインタラクティブな次世代のWeb 2.0のエクスペリエンスを提供するために必要な最新の革新的ウェブ標準をサポートする最初のブラウザでもあります。

とされており、Appleでは毎度のことながらかなりの自信がうかがえます。ただ、最後のくだりで

最初のブラウザ

と言ってしまうのはどうかなという気がしないでもありませんが…まあそれはともかく、とりあえずこれまでのベータテストの間も新しいバージョンが公開される度に試使用してきた私なので、今回の正式版はこのニュースを聞きつけるやいなやインストールして、今もSafariを使ってこの記事を書いているところです。なお、この記事で述べているのは全てWindows XPでの話で、Mac OS Xでは色々違うところがあるかもしれませんのでご了承ください。

このブラウザの最大の売りは高速性だということなのですが、実際のところはどうなのでしょうか。まず、インストーラのサイズがわずか18.6MBしかないということもあり、いくつものアドオンを追加していった結果起動に数十秒もかかるようになってしまったFirefoxと比べると、Safariの起動はわずか数秒と、この時点でもかなりの差があります。また、Firefoxも現在ベータテスト中のバージョン3ではかなりJavascriptが高速化されていますが、SafariのJavascriptエンジンはこの上を行くスピードではないかと感じられます。さらに、HTMLのレンダリング自体も確かに高速であることが体感できます。

また、私がSafariに魅力を感じるもう一つのポイントはフォントのレンダリングの美しさです。他のブラウザでもWindows XP以上ではMicrosoftのサブピクセルレンダリング技術であるClearTypeを有効にし、メイリオなどの対応フォントを使用することでかなり綺麗な文字を表示することができますが、Safariで使用されているWebKitでは独自のレンダリングを行っており、やや太めの文字にはなるので好き嫌いはありそうなものの、かなり美しい表示が行われるようになっています。

さらに、自分でブログやウェブページを作成している人にはとても便利ではないかと思われるウェブサイト開発者向けの機能が充実しているのも私はかなり気に入りました。この一部についてはFirefoxでもWeb Developerという拡張機能を追加すればかなり充実した機能を利用することができますが、Safariの機能ではページの構成要素の詳細表示の他、読み込まれているJavascriptやスタイルシートの表示もありますし、ユーザエージェントの切り換え、スタイルやJavascriptの無効化なども備わっています。また、各要素別のダウンロード所要時間を表示する「ネットワークタイムライン」という機能は有効なだけでなくなかなか面白いのではないかと思います。ただし、これらの機能は標準で搭載されているものでありますが、誰もが使うものではないということで、「設定」の「詳細」で「メニューバーに[開発]メニューを表示」というチェックボックスをONにすることで利用することができるようになるものです。

ということで、最初は日本語の表示はサポート外となっていて全くテストされていなかったので一体どうなることかと思ったものですが、今回の正式版でも日本語入力にはやや問題があるものの表示に関しては全く問題が無くなっており、ちょっとした我慢は必要なものの常用するのに差し支えない程度にはなっているのではないでしょうか。高速性と表示の美しさはちょっとした欠点を補ってあまりあるものとなっていますし、今回の正式版リリースによりユーザが増え、日本からのフィードバックが多数あれば次のバージョンアップ時にでも修正されることが期待できます。まあそう言っているだけで私自身は何もフィードバックしておらず偉そうなことは何も言えないのですが…まあとにかく毎日ブラウザを使っている人であれば試してみる価値があると思います。